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観光客誘致と住民生活の折り合い――観光公害と『責任ある旅行者』

2019年12月6日

【“分散”がカギ】

前回、「京都でぶぶ漬け」の思い込みが修正された話をしましたが、
今回は、京都をはじめ、近年全国各地で問題となっている、
オーバーツーリズム、いわゆる観光公害の話題です。

観光客が増えることで起こるトラブルには、
混雑・渋滞、ゴミ散乱、環境破壊、住民生活への被害など、
それこそ様々なものがあります。

観光公害対策では、「コレをすれば大丈夫」というような決定打はなく、
一つ一つの施策を積み重ねて改善するしかないというのが実情です。

以前見た、観光公害を特集したテレビ番組(「日経プラス10」9/25)では、
これまた日本有数の観光地である鎌倉市の取り組みが紹介されていました。

鎌倉市は、人口約17万人に対し、年間に観光客が約2,000万人訪れるそうです。
その数、実に117倍!
「人出がすごくて、年末年始、GW、お盆は家から出られない」と嘆く女性も……。

江ノ島電鉄(江ノ電)に地元の人が乗れないという事態が頻発し、
鎌倉市と江ノ電が始めたのが、市民の優先入場です。

3年前から対象エリアに住む鎌倉市民のため、
期間を区切りホームに優先入場できる証明書を発行しました。
利用者は2018年は1,471人でしたが、2019年は2,811人に倍増したとのこと。

江ノ電には、知る人ぞ知る「鎌倉高校前駅の踏切」という場所があります。
海外でも人気のアニメ「スラムダンク」に登場するといわれる“聖地”です。
そこに、主にアジアからの観光客が大勢押しかけ、
車道や線路の周りにあふれる危険な状態も発生しています。

そんなこんなで、鎌倉市は、車両通行の妨げになる写真撮影や
混雑時の食べ歩きなどの迷惑行為の自粛を求める条例を、今年4月に制定しました。

さらに鎌倉市は5月、スマホのアプリ(GPS)を活用して観光客の動態を調査。
それでわかったことは、鎌倉屈指の人気スポット鶴岡八幡宮を訪れる観光客を含む人々が、
小町通りという商店街を最大6万人も行き来しているということでした。

そこで、小町通り以外の魅力もアピールし、こう巡ってほしいという
順路を示す案内板の設置などを検討しているそうです。

さらに、渋滞回避で生活道路に入ってしまう車が多いため、
市の中心部の通行に課金を検討するという動きも。

場所、時間、時期を分散させて、観光客の集中を緩和する試みは、
観光公害を克服するための打開策として、各地で取り組まれていますね。

例えば京都観光オフィシャルサイト「京都観光ナビ」では、
向こう半年間の「観光快適度カレンダー」をアップしていて、
時期による混雑度が一目でわかるようになっています。
細かなエリアごとの混雑度も半月分ほどチェックできます。

観光“公害”だからといって、単純に観光客を拒めばいいとはいかないのが難しいところ。
観光産業は日本に残された数少ない成長産業の一つ、という面もあります。

観光客自体を縮小させるのではなく、分散して多くの観光客を受け入れる。
一方で、もちろん住民の生活を損なわないことも大事。
その折り合いをどうつけていくか――
日本だけでなく、世界各国が抱える課題です。

 鎌倉高校前駅踏切

 

【『責任ある旅行者』になろう】

先述の番組では、『責任ある旅行者(Responsible Traveller)』
という考え方が紹介されていました。

これは、国連世界観光機関(UNWTO)の世界観光倫理憲章に基づき、
世界観光倫理委員会が作成したもの。
次のような目標がうたわれています。

◆旅先に住む人々に敬意を払い、私たちの共有遺産を大切にしよう
◆私たちの地球を守ろう
◆地域経済をサポートしよう
◆旅先の情報に通じた旅人になろう
◆尊敬される旅人になろう

すぐに読める文章量なので、リンク先でぜひ全文をご覧いただきたいです。
というのも、旅行者に限らず、留学などで外国に住む方にとっても、
大いに当てはまると思うからです。

相手先の文化を尊重する姿勢を養い、
複眼的な思考ができるようになるのも、留学の大きな目標なのです。

留学に少しでも関心がおありなら、悩む時間がもったいないです。
お気軽に福岡の留学会社、弊社オーバーシーズ情報センターにお声がけください。
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