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アフターコロナの留学

2020年に起こったコロナ・パンデミックは、人々の生活を一変させました。海外への渡航は制限され、留学やワーキングホリデーなどを予定していた人は大きく計画を変更せざるを得なくなりました。短期で収束するだろうとの期待は裏切られ、1年半以上が経過しても元通りとはなりませんでした。むしろ、これを機にアフターコロナの留学スタイルが出てきました。

そのキーワードとなったのが、

  1. オンライン化
  2. 事前の異文化理解
  3. 英語習得への別アプローチ
  4. リアルの重要性
  5. 海外大学との連携

といった5つのことです。

学校生活や会社での業務は、対面を必須としないオンラインでのスタイルが定着しました。留学についても同様で、オンラインでの英語レッスンなどは当たり前、留学に行く前に押さえておくべき異文化知識はネットで調べられます。また、英語の習得方法はYouTube動画やアプリの活用で、かなりのレベルまで引き上げられます。

しかし、リアルでなければ超えられない問題も明確になりました。人と人との交流による絆、連帯感や達成感といった目に見えない無形の成果物は、直接、人が人と触れ合うことで深まります。そこで、オンライン+リアルの特性を補完する「ハイブリッド型」がアフターコロナの留学の主流となっていくでしょう。

そして、もう1つ。 海外大学との連携は、より進むと思われます。日本で入学して海外で卒業する、あるいは途中の一定期間を海外の大学で単位取得するといったスタイルが増えてくると思います。大学間の提携は、これまでも行われてきましたが、実態の伴う活動は少なかったところが多いです。しかし、オンラインでの交流も進んでおり、現実的な共同研究など進むことでしょう。

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留学から得られるもの

みなさんが、留学を通じて得たい成果は何でしょう?
弊社に留学相談にお見えになられた方には、最初のカウンセリングで必ずお聞きする2つの質問があります。それは、「なんで留学しようと思ったの?」と「将来どうなりたいの?」という動機と目的についての質問です。

多くの方は「英語の習得」とお答えになります。では、なぜ英語を習得しようと思っているのかについてお聞きしていくと、「就活に有利だから」「視野を広げたいから」などの答えが返ってくるのですが、みなさんがお考えの ①英語力 ②就活を有利にするスキル といったことは、実は表層的なもので、留学から得られる成果は違うところにあります。

留学から得られる成果は、

  1. 自立心(Independence)
  2. 困難でもくじけない強さ(Resilience)
  3. コミュニケーションスキル(Communication)
  4. 生涯の友人(Relationship)

この4つが上げられます。

自立心というのは、日本人が苦手とする「自分で考え、行動し、責任を取る」ということです。主体的な生き方、ブレない自分の軸があるということです。同調圧力が強い日本社会では、「自分はこう思う」という意思表示はせずに生きている人が大半です。大人もそうです。まわりの様子を見て、「〇〇さんと一緒です」と答えておけば、差し障りのない生活を送られます。むしろ、その方が軋轢もなく心地よく生活できます。

しかし、グローバルスタンダードな時代はそうではありません。これからの世の中は多様な価値観の人々、外国人と仕事をすることも珍しいことではなくなります。ちょっと、まわりを見渡してください。コンビニの店員さん、外国人ではありませんでしたか? ベトナム人のレジ打ちさんやネパール人のカレー屋さんなど、いつの間にか外国人が、ふつうに働いています。次は上司が外国人…そんな時代です。協調しながらも自分の考えを伝える。自立心を持つというのは、そんな彼らとやっていく上で必須のスキルとなっていきます。

そして、困難でもくじけない強さ(レジリエンス)も、これも留学を通じて得られる大きな成果となります。実際に海外で暮らしてみると、日 本とは勝手が違いストレスの連続です。

また、仏頂面でブスッとしていては友達もできません。他人とうまくやっていくには、にこやかにして相手を気遣うことが人間関係の基本となります。海外生活で出会う人たちと、どうすれば仲良くなれるか? この時、いろんな試行錯誤を経験するでしょう。このコミュニケーションスキルというのは、社会生活を送る上で重要なスキルです。たとえば、会社では、能力が高いというだけでは偉くなれません。なぜか他人から可愛がられる人が出世します。家族や夫婦などもそうですが、幸せな人生を送るには良好な人間関係が大切です。留学生活は、これを磨いてくれる場となります。

こうした経験を積み重ねていくと、気が付くと国籍を問わず、生涯の友人ができます。日本にいたら、決して出会えなかった人たちとの出会いがあります。日本人、外国人問いません。アジアや南米出身の留学生の中には、富豪みたいな人もいます。振り返ると、とてつもない人脈を築いているかも知れません。ちなみに、人脈どころか、弊社のお客様の中には、生涯の伴侶を見つけた方が何人もおられます。(^-^)

人は人と関わることで、大きく成長します。
留学生活というのは、例えるなら1日1日がプレステのRPG(ロールプレイングゲーム)で勇者を目指すようなものです。ドラクエやファイナルファンタジーと同じです。勇気をもって会話をしてみたり、何かのイベントに挑戦することによって力をつけていきます。これらの経験を通じたスキルは、単なる英語力や就活に有利といった程度にとどまりません。生きていく上での力そのものとなります。

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留学するタイミング

留学するタイミングというと、卒業前に留学するべきか、卒業後がいいか? といった話になりがちですが、ここでは目先の渡航時期の良しあしではなく、留学を決意するまでにある心の状態やプロセスについて触れたいと思います。

実は、弊社に留学の相談にお見えになる方は、けっこうな割合で人生の分岐点にある方がいます。それぞれに事情はあると思いますが、留学を決意するに至る、それまでの状況やタイミングというものがあります。

  1. 留学は人生の分岐点
  2. 自己逃避OKです

私が留学したのは大学生の時ですが、留学を決めた背景には自己逃避の気持ちが少なからず含まれていたと思います。第一志望の大学に不合格となり、納得のいかないまま、行く予定のなかった大学に通うことになりました。
目標を見失い、荒んだ生活を送っていました。3年次までに取得した単位数は12単位と惨憺たるもので、留年も3度経験しています。4年次を迎える前に、いよいよもう大学を辞めようと思っていた矢先、英語ができればこの先食っていけるかもしれないな、くらいの安直な気持ちでアメリカ留学をすることになります。そして、この留学こそが、その後の私の人生を大きく変えていくことになります。

現地では、いろんな経験をしました。1986年当時、私はアメリカの南カリフォルニアにいたのですが、

  • 到着時、出迎えの知人が来なく、飛行機で同席した方の家に泊めてもらったこと
  • 日本とは安全に対する考え方が違い、場所や時間によって恐ろしく危険になること
  • 仲の悪かった父から手紙が毎週送られてきて、涙が出るほど嬉しかったこと
  • アメリカ人学生の勉強への取り組み方が、想像以上にまじめだったこと
  • 大型スーパーでは缶ビール1本80円程度(当時日本は310円)で驚いたこと
  • 日本で流行る商品やビジネス(コイン洗車・ピザ宅配など)を事前に知ったこと
  • 映画館では、観客が拍手喝采、指笛まで鳴らして盛り上がっていたこと
  • 友人のインドネシア人留学生の家はメイドが13人もいる富豪だったこと

思い出せば枚挙にいとまがありませんが、日々の生活そのものがエキサイティングで、英語の習得以上に人生を考える機会になりました。人生の分岐点だったと思います。

特に父親とは、自分の人生がうまくいかなくなったのは、父親のせいだ! と責任転嫁して、最悪の親子関係でしたから、手紙のやり取りには思い出深いものがあります。航空便で送られてくる手紙には、日本の新聞の切り抜きと近況報告が書かれていました。現在と違い、海外に出ると日本の状況は入ってきません。他愛もない話でも、地元の話はホッとするものばかりでした。険悪だった親子関係ですが、距離が離れると客観的に見えてきます。自分が親になったらわかりますが、我が子にはできるだけのことはしてやりたいものです。それができないのは、親としては辛かっただろうと思います。

1年足らずの留学生活でしたが、多くの気づきがあり、吹っ切れたのか、日本に帰国してからは3年で卒業に必要な単位を取得しました。大学では生涯付き合える友人とも出会えました。就活では、その当時倍率も高く人気企業であった毎日コミュニケーションズ社(現マイナビ)に内定を得ることができました。マイナビでは、営業職としての基本を叩き込まれ、8年余りお世話になり、その後、留学エージェントとして起業することになります。

当時の私自身がそうであったように、留学を考えている人は、キャリアアップを目指す上昇志向の人ばかりではありません。今、人生がうまくいっていない、煮詰まっているという人もいるでしょう。そういう人こそ、一度留学を考えてみて欲しいです。客観的に見れば自己逃避かも知れません。それでもかまいません。最初の一歩を踏み出すと、様々なことが変わってきます。

まわりから「日本でうまくいってない人が、海外でうまくいくわけない」と厳しく言われると思います。留学先では、今以上の困難に立ち向かうことになります。すべて自分でやらなくてはなりません。しかし、その困難から逃げずに自分自身と向き合い、それを乗り越えたとき、確実に人は成長します。「自分で考え、行動し、責任を取る」自立した自分がいると思います。そこから人生は大きく変わります。同じ経験をした私が保証します。

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就活と留学について

留学のスタイルは、社会の変化とともに変わってきています。就職に有利ということで、今も昔も留学をする人は多いのですが、最近の企業の採用基準はTOEICのスコアだけではなく、どんな経験をしてきたのかを問われるようになってきています。専門性やストレス耐性、成功体験などを見ているということです。というのも、採用をする企業側も変化の予測できない時代で、生き延びていくタフさを持った人材を求めている表れでしょう。

1990年の人気企業ランキングを見ると、大手都銀や電機メーカー、運輸・航空関係が上位に並んでいます。しかし、30年余りが経過した2021年では、その大半が大規模なリストラを進めています。コロナ禍によるところも大きいと思いますが、その当時のランキングは頂点であり、それまでの集大成なのです。未来永劫、発展し続けているというわけではなく、時間の経過とともにピークアウトしていきます。

人気企業ランキング(1990年)

順位 文系 理系
1位 全日本空輸 日本電気
2位 三井物産 ソニー
3位 伊藤忠商事 富士通
4位 三菱銀行 日本電信電話
5位 日本航空 日本アイー・ビー・エム
6位 住友銀行 松下電器産業
7位 東海旅客鉄道 日立製作所
8位 富士銀行 日産自動車
9位 日本電信電話 本田技研工業
10位 東京海上火災保険 トヨタ自動車

出典:マイナビ就職企業人気ランキング1991年調査(1991年卒)

1 、乗る船を間違えてはいけない

そう考えると、仕事選びというのは、あらためて「将来性」の見極めが大切です。どんなに素晴らしい会社でも、業界全般が斜陽産業だと下りのエスカレーターを上っていくようなもので、成長を期待するのは難しいです。

1990年当時、「課長 島耕作」という電機メーカーの社員を描いた漫画がありました。今も連載は続いており、社会を知るにはとてもいい漫画です。人気企業ランキングの上位に出てくる会社が舞台で、誰しもが、こんな会社に入社したいと思ったものです。

しかし、2021年現在、業界全体が厳しく大規模なリストラがニュースになりました。広告代理店なども同様で、当時、最もモテる男性の職業と言われていましたが、過重労働が問題になりブラック企業として批判を受けています。

2 、英語とITの重要性

では、これからの未来をどう予測するか? ということですが、残念ながら100%断言できる答えはありません。30年前、興銀や長銀といった銀行が消滅するなど思った人はいませんし、現在のコロナ禍のように100年に1度の大事件が起きるかも知れません。正確に未来を予言することは難しいのですが、今の社会情勢を見れば、ある程度の予測は可能です。少子高齢化が進み、労働人口の動態予測を見れば、外国人との協業は進むでしょう。テクノロジーの進歩により装着型の翻訳ヘッドセットが普及するかもしれません。そうするとITリテラシーの習得が英語力以上に求められるかも知れません。

ただ、いずれにしても、この英語とITは必須スキルとなります。なぜなら、どちらも世界でやり取りするための共通語のようなものです。日本だけですべてが完結するなら、英語やITを学ぶ必要はないのでしょうが、これだけ世界がネットでつながった時代では不可能です。むしろ、常識やマナーレベルで求められるようになるのではないでしょうか。

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就活とTOEIC

1 、「使える英語」が求められる

日本でTOEICが就活で重視されるようになったのは、80年代に大企業で昇進の評価基準になったことが大きいと思います。大企業の半数以上が、なんらかの社内評価にTOEICを活用しています。(※英語活用実態調査「企業・団体/ビジネスパーソン」2019調査より)
それゆえ、就活においてTOEICの好スコアは優遇されます。エントリーシートにTOEIC 700と記載できれば、「この子は勉強したんだな」という一定の評価は得られます。そういう点で、就活に有利であることは間違いありません。

しかし、TOEICが就活に万能かというと、少し不安材料もあります。商社マンや国際線のCAさんなどのように、本格的に英語を使う企業を目指すのであれば、スコアだけではなくコミュニケーション能力や会話力などもチェックされます。実際に話せるのか、という点で差別化されます。近年、フィリピン留学が人気を集めたのは、安さだけではなく、マンツーマンレッスンでの会話力アップによることが大きいです。日本人の苦手な「とにかく話す!」部分にフォーカスしたのは、画期的な留学スタイルでした。

2 、企業が求める「使える英語」とは?

前述のように、本格的に英語を使う企業では「TOEICスコア+会話力のある人が有利ですが、すべての企業がそこまでの英語力を求めているわけではありません。TOEICスコアが高くなくても、また、流ちょうな英語を話せなくても

  • 英文メールの処理ができる
  • 英語でプレゼンする
  • 情報を英語サイトで集める
  • 英語力が低くても工夫できる

といったスキルが評価されるようになってきました。というのも、英語で検索すると、日本語で検索するよりも多くの最先端の情報が得られます。

大手企業に限らず、ネットで世界がつながっている時代です。企業活動は、よりグローバルな動きとなります。英語が堪能でなくとも、Google翻訳やアプリを活用し、なんとかする突破力を含めたスキルです。ビジネスセンスと言ってもいいかも知れません。実は、これが企業の求めている「使える英語」なのです。

3 、TOEICをどう生かすか

就活のためにTOEICを勉強するというより、総合的な英語力を身につけるためにTOEICを学ぶことは有益です。就職や進学、移住など多くの場面で、TOEICは効果的な自己アピールにつながります。オセアニアを含めたイギリス英語圏ではIELTSやケンブリッジ英検、一方、アメリカやカナダの米語圏ではTOEFLの方が認知されている、と言われることもありますが、TOEIC900レベルの人が他の英語資格で低いスコアを取るということはありません。TOEICの学習は必ず役に立ちます。

そして、あらためてTOEICスコアは留学後の1つの武器となります。留学経験だけでは、漫然と海外で過ごしただけと思われるかも知れません。ある程度のスコアを取っておくというのは、自己アピールの証明書となります。留学に行く前、そして帰国後には、ぜひTOEICに挑戦してみてください。TOEICを目標までのマイルストーンとして活用すれば、英語学習の励みにもなります。

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地方で英語は生かせない?

弊社は福岡市(九州)で20年以上、留学手配の仕事をしています。そこで感じていたのは、地方では英語力を生かして活躍できる場が少ないということです。帰国後、よく就職相談をお受けしますが、TOEIC900レベルの優秀な方でも、東京のような大都市と違い、納得のいく仕事内容と給与条件の会社を見つけるのは簡単ではありませんでした。

しかし、コロナ禍によりテレワークが当たり前になり、本社を地方に移転し、ネットで仕事をする会社が増えています。地方発の会社が、世界を見据えてグローバルな活躍をするのが珍しくなくなりました。福岡でもアジア展開をする企業や、南米向けに製品を輸出する企業など、ベンチャー企業の活躍が目立ちます。これからは、地方であっても英語力のある人を求める企業は増えそうです。

そして、自ら起業するという人も増えており、社内評価のための英語ではなく、仕事を切り開く上で英語が必要な時代になってきています。福岡市では、起業家のスタートアップを支援する「グローバル創業・雇用創出特区」として、創業の支援と雇用の創出に取り組んでいます。福岡市のような地方都市で外国人の起業が増えていることをみれば、逆に地方が一気にグローバル化が進むのかも知れません。

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留学の種類

留学には様々な種類があります。
ざっと挙げてみると、以下のような10のスタイルがあります。

留学スタイル 目的 期間 対象/年齢層 対象国
[ 1 ] 語学留学 英語中心 1~52週 全対象/年齢問わず 英語圏、アジア
[ 2 ] 語学研修 英語+生活体験 1~8週 学校単位/若年層 英語圏、アジア
[ 3 ] 交換/認定留学 英語+生活体験 1~52週 高校・高専・大学生 英語圏、アジア
[ 4 ] 高校留学 英語+生活体験 3~4年 中学卒業(英語資格) 英語圏、アジア
[ 5 ] 学部留学 専門分野(英語) 2~4年 高校卒業(英語資格) 英語圏、アジア
[ 6 ] 大学院留学 専門分野(英語) 2~3年 大学卒業(英語資格) 英語圏、アジア
[ 7 ] ワーキングホリデー 英語+働く+旅 1~2年 18~30歳以下 カナダほか
[ 8 ] 海外インターン 英語+働く 2~52週 20~30代(要ビザ) アメリカほか
[ 9 ] キャリアアップ留学 英語+専門分野 1~52週 30代(社会人) 英語圏、アジア
[ 10 ] シニア留学 英語+生活体験 1~52週 50代~ 英語圏、アジア
  • 英語圏は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど
  • アジアは、フィリピン、マレーシア、タイなど
  • ワーキングホリデービザは国ごとに、年齢や滞在期間など参加条件が異なります

それぞれ、渡航目的や予算などに応じて選ぶことが出来ます。
内容について、なるべく簡潔に説明しますと

[ 1 ]語学留学 ~英語を学びに行く~
年齢を問わず英語の勉強を目的とした留学スタイルです。1週間から参加可能で、52週(1年間)を超える期間、学ばれる方もいます。8週間以下のものは短期留学と呼ばれ、学生ビザを取得することなく渡航できる国も数多くあります。多くの留学プランは、この語学留学がベースになっています。
[ 2 ]語学研修 ~在籍する学校単位で行く~
修学旅行のように学校行事的に行われる語学留学の1つで、主に学校単位で行われる英語研修を指します。また、留学会社が主催する団体研修に個人で参加することも可能です。個人で参加する場合でも、他の日本人の方と一緒に行動できるので、初めての海外でも安心です。また、主に小中学生の語学研修では「ホームステイ・プログラム」の名称でジュニア(初級者)向けの留学として知られています。海外に興味を持つ、最初のきっかけとなるプログラムです。
[ 3 ]交換/認定留学 ~在籍する学校や団体の協定校に行く~
海外の協定校との間で相互に留学生を派遣する留学形態です。あるいは、協定を結んでいる学校であれば、その学校で取得した単位を認定し、留年することなく卒業が可能となる留学制度をいいます。また、交換留学を運営する各種団体を通じて、個人で交換留学に参加することも可能です。

交換留学と認定留学は、混同してとらえられがちですが、以下のような違いがあります。交換留学は、学内の選抜試験や成績基準をクリアした若干名が、協定校に派遣される制度であること。学費の補助もあり、費用負担も比較的少なくて済みます。一方、認定留学は自分で留学先を見つけてくることが可能、ただし、日本側の学校が留学先の単位を認めてくれて、初めて卒業要件を満たします。また、個人の費用負担は大きい傾向にあります。

ご自身が在籍する学校が協定を結んでいる学校(協定校)であれば、単位の互換制度や学費の一部免除などの費用面でのメリットがあります。一方、交換留学運営団体を通じて渡航する場合、日本の学校が単位認定してくれないと、留年扱いになることもあります。

[ 4 ]高校留学 ~現地高校に入学する~
日本の中学校を卒業した方が、海外の高校に入学し、卒業までを過ごす留学です。英語だけではなく、数学、物理、歴史、外国語といった主要5教科に加え、美術や体育など、現地の高校生と同じ内容の勉強をします。また、通常、現地校に入校するために語学学校に通うことになります。その期間を考えると、卒業までに合計で3年半から4年間を見ておいた方がいいでしょう。また、日本の高校を休学、あるいは退学して海外の高校に編入するものを高校編入留学といい細分化されます。留学期間は1学期間だけという短期から、卒業を目指す方までさまざまです。短期間の体験的な編入であれば、語学学校を経由せずに直接入校できる高校もあります。いずれの場合も、現地校に日本語を理解する先生がいる、留学生の受入実績が豊富で生徒のケアが出来る学校を選ぶことをお勧めします。そして、卒業後に日本の大学に進学する場合は、帰国生向けの試験情報を理解しておくことも重要です。
[ 5 ]学部留学 ~現地大学に行く~
高卒資格があり十分な英語力のある方が、海外の大学で専門分野を学ぶ留学です。単位や学位の取得を目指すかによって、留学期間や入学基準も変わりますが、英語の習得を目的とする留学ではありません。出願する時点でTOEFLやIELTS、GPAなどのスコアが求められます。日本の大学に在学中の方が休学して渡航される方も多いですが、専門分野を学ぶのに十分な英語力が求められます。
[ 6 ]大学院留学 ~現地大学院に行く~
大卒資格があり十分な英語力のある方が、海外の大学院で専門分野を学ぶ留学です。学部留学以上に高度の英語力が必要です。一般的に修士課程の期間は2年ですが、国によって多少の差異があります。また、入学に際しては、英語資格だけでなく、英文による志望動機や仕事や研究の実績、担当教授や仕事先の上司からの推薦状も求められます。日本の大学院生や医師の方などが多いです。
[ 7 ]ワーキングホリデー ~学ぶ・働く・旅行の3つが出来る~
「学ぶ」「働く」「旅する」が可能な渡航形態で80年代にスタートしました。2021年現在、オーストラリア、ニュージーランド、カナダに加えイギリスや韓国など26か国に対象国が増えています。特にカナダの人気は高く、例年、ビザ発給数は定員に達しています。オーストラリアやニュージーランドでは、農場や水産加工場など第一次産業で一定期間就労すると、滞在期間が延長されるセカンドワーホリ制度などもあります。
[ 8 ]海外インターン ~海外で働く~
研修生として働ける渡航形態の1つです。一般的な就労ビザとは異なり、主にアメリカでは、J1ビザを取得して渡航するプランを指します。インターンの申請資格は、米国国外の現役短大・大学生、または短大・大学新卒1年目の社会経験がない30歳までの方が対象となります。また、シンガポールやフィリピンなどのアジアでも、海外インターンのプランはあります。
[ 9 ]キャリアアップ留学 ~30代以上の大人が行く~
社会人の方で英語や業務で必要なスキルを習得するための留学です。英語が出来ると仕事の幅が広がるホテルマンや海外勤務を控えた商社マンなど、多くの社会人が参加されています。退職をせずに短期で渡航するプランやオンライン英語からスタートする方など様々です。30代の社会人で、フィリピンでのマンツーマンレッスンで会話力アップを目指す方も増えました。
[ 10 ]シニア留学 ~50代以上のシニアが行く~
子育てが一段落した主婦の方や、会社を退職して英語を学びたい方など、熟年者向けの留学スタイルです。昨今のリカレント教育(学びなおし)の潮流もあり、問い合わせが増えています。この傾向は世界的なトレンドでもあり、40歳以上限定の留学クラスを運営している語学学校もあります。年齢で気後れする必要もありません。世界中に同世代の友人がつくれます。
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新しい留学スタイル

1 、日本の大学費用ご存じですか

近年、高校を卒業し大学に進学する段階で、国内の大学だけでなく海外の大学を視野に入れる人たちが増えてきました。まず、下記の資料をご覧ください。日本の大学に進学する際の費用の一覧です。

2022年度大学/学費一覧

国公立大学 授業料 入学金 設備費等 初年度計 4年概算
国立大(文・理) 535,800 282,000      - 817,800 2,425,200
公立大(文) 535,800 282,000 147,260 965,060 3,023,240
私立大学 授業料 入学金 設備費等 初年度計 4年概算
早稲田大(文系) 960,000 200,000 10,700 1,170,700 4,107,800
〃    (理系) 1,446,000 200,000 63,000 1,709,000 6,276,000
慶応大(文系) 880,000 200,000 213,350 1,353,350 4,813,100
〃   (理系) 1,280,000 200,000 323,350 1,863,350 7,453,100
明治大(文系) 876,000 200,000 232,300 1,308,300 4,693,200
〃   (理系) 1,189,000 200,000 417,000 1,806,000 6,684,000
福岡大(文系) 730,000 190,000 206,710 1,126,710 3,933,540
〃   (理系) 1,000,000 240,000 406,710 1,646,710 5,863,540
西南大(文系) 750,000 200,000 222,050 1,172,050 4,078,300
APU  (文系) 1,300,000 200,000 40,000 1,540,000 6,040,000

弊社調べ(2021年9月1日現在)

  • 4年間の学費合計は、大学により諸費用の変動を考慮して概算としています。
  • 公立大は、北九州市大に進学する北九州市在住者をモデルとしています。
  • 各大学の文系学部は法学部、理系学部は工学部で調査した数字です。
  • APUは立命館アジア太平洋大学(大分県)の英語略称です。

地方から東京の私大に進学する場合、学費に加えて住居費や生活費の仕送りが必要となります。これを月額10万円すると4年間で480万。合計すると文系で900万前後、理系では1000万を超える教育費を見ておかなければなりません。

2 、アジアの大学で学部留学

一般に海外の大学に学部留学をするとなると、日本で大学進学をする以上に高い費用がかかります。アメリカの名門、スタンフォード大学の場合、学費、滞在費、航空券、保険などで年間約8万ドルは見ておく必要があるでしょう。2021年9月のレートで換算すると880万円前後です。イギリスやカナダ、オセアニアなど英語圏での留学は、とても魅力的ですが安くはないというのも事実です。

一方で、アジアに目を向けると、桁違いに安く行ける留学があります。それは、フィリピンでの学部留学です。授業はすべて英語で行われ、ビジネスやITなど専門分野を学べます。フィリピンの国立・州立大学では、年間の学費は5〜10万円程度。私立大学でも10〜40万円程度です。決して大学のレベルが低いわけではなく、アジアの大学ランキング(QS Asia University Rankings 2021)によれば、国内トップのフィリピン大学は69位につけています。比較対象となる日本の大学では、神戸大学が66位、広島大学が77位となっています。 https://www.topuniversities.com/university-rankings/asian-university-rankings/2021

ただし、フィリピンの大学に学部留学をするには、入学に十分な英語力(TOEFLスコア)が求められます。そのため、最初の半年は語学学校で猛勉強をする覚悟が必要ですが、その費用を含めても日本の国立大学に行くよりも安く行けます。英語で専門分野を学ぶのですから、高度な英語力、外国人とのコミュニケーションスキルなど、日本の企業が求めるグローバル人材としての素養を得ることができます。

実際に九州出身の方で、フィリピンの大学を卒業された方がいます。当初、日本の大学を目指して受験勉強をされていたのですが、英語力アップのために渡航したフィリピン語学留学で意識が変わったそうです。たしかに、日本の大学の1学科の受験料で半年分の学費になると知ったら、ちょっと価値観が変わりますよね。在学中は勉強に大変だったそうですが、卒業後は国内大手のシンクタンクに就職が決まったそうです。現在、海外支店の即戦力として活躍されています。ふつうに日本の大学を出ていても採用は叶わなかったのではないかと思います。経済的に厳しくても、本気で海外で学びたい人にはチャンスは広がっています。

これからは、新しい留学スタイルとしてアジアでの学部留学が増えると思います。シンガポールやマレーシアの大学では、一定期間をその国で学んだあと、オーストラリアの大学で卒業する「ダブル・ディグリー・プログラム」などもあります。テクノロジーの進化に合わせて、場所も学び方も変わる時代です。