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接触確認アプリ「COCOA」は「マスク」「3密回避」に続けるか?

2020年7月3日

【不安の源泉「プライバシー」に最大限配慮】

6/19にリリースされた厚生労働省の接触確認スマホアプリ「COCOA(ココア)」
(「COVID-19 Contact Confirming Application」)。
COCOAユーザー同士の「1m以内、15分以上」の接触を自動記録するようになっていて、
ある利用者Aさんが新型コロナウイルスの検査で陽性と判明した場合、
保健所から発行される「処理番号」をAさん自身がスマホに入力すれば、
入力時点からさかのぼって14日以内にAさんと接触していた
他のCOCOAユーザーに通知が送られる、という仕組みです。

しかし、スタートしてすぐ、COCOAに複数の不具合が出てしまいました。
誤った「処理番号」を入力してもエラーにならず完了扱いになったり、
利用開始の日付が誤って表示される、というものです。

7/3現在、不具合は修正され、一時停止されていた「処理番号」の発行も始まっています

この種の公衆衛生に関わるアプリは、どれだけ普及するかが有効性の上で重要です。
人口の6割以上が使うとロックダウンを回避できる効果があると言われていますが、
インストールできるシステム要件がある上に、
日本では、スマホやLINEの人口普及率と同等ということで、
相当高いハードルではあります。

ただ、感染状況に地域差がある現状で、都市部と地方の普及率を
同じように考えるのは現実的ではないという声もあります。

私は福岡県の片田舎に住んでいますが、今のところ、
周りでCOCOAをインストールしている人は見たことがありません。
「(普及しないという前提で)自分だけ入れても仕方ない」とか、
「プライバシーが気になる」という声が多数のような気がします。

ちなみに「COCOA」は、以下のような仕様になっています。
〇アプリに氏名や住所、電話番号は登録しない。
〇ユーザー同士の接触データは匿名で、感染者や濃厚接触者の情報は知らされない。
〇政府もデータを収集せず、感染者や濃厚接触者の行動履歴の追跡には使わない。
〇データは14日経過後に自動的に無効化され、アプリを削除した場合も記録が消去される。

官民連携の新型コロナウイルス感染症対策テックチームの事務局長として、
COCOAリリースの調整役を務めた平将明内閣府副大臣(IT政策・行政改革等担当)は、
「一番配慮したのはプライバシーで、各国の取り組みと比べても、
最もプライバシーに配慮した仕組みになっている」としています。(*1)

ただ、プライバシーに最大限配慮すると、例えば感染経路の特定には使えないなど、
疫学的な有効性はどうなのかといった問題もあり、とてもバランスは難しいと思います。

ちなみにシンガポールでも同様のアプリがリリースされましたが、
データは国が管理する仕様が敬遠され、普及率は2~3割だそうです。(*2)

「公衆衛生は政府と国民相互の信頼関係で成り立っている。
国民の協力がなければ政府は保健衛生の政策を実行できない。
今世界中で起きているのは、政府への信頼の低下。
公衆衛生は大きな代償を払わされている」

これは、2017年にアメリカとドイツが共同で制作した『見えざる病原体』という番組で、
ローリー・ギャレット米外交問題評議会研究員が語っていた一節です。

2020年の日本でも、状況はほぼほぼ変わっていないなら……

この点に関しては、ITジャーナリストの西田宗千佳さんが
『ITmedia NEWS』で述べていることが、個人的には「なるほど」度は高いです。

――(COCOAは)非常にリスクが低いアプリにすることを
多くの人が検討した上で作られている。

「胡散臭(うさんくさ)い」「即効性がなくて意味が薄い」
という意見はよく分かるが、その意識が、
作ったアプリを無駄にすることにもつながる。
リスクが低いことを勘案し、できるだけ多くの人が利用し、
その上で問題を洗い出してより良い状態を目指す必要がある。

助け合い運動が「無駄」だとは、筆者には思えない。――

厚生労働省によれば、7/2午後5時までに約499万件ダウンロードされたというCOCOA。
マスクや3密回避は多くの人が自主的に取り組んでいますが、
同じく“公衆衛生上必要”とされるCOCOAは、
日本ではどこまで受け入れられるでしょうか。

(*1)『日経モーニングプラスFT』(2020.6.24)
(*2) NHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」