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「弱毒化の淘汰圧」のためにも感染防止の努力を

2020年7月23日

【感染しにくい環境がウイルスを弱めることに!?】

都市部を中心に新型コロナウイルスの感染再拡大が止まりません。
昨日(7/22)全国で確認された新規感染者は791人となり、
これまで最多だった4月11日の691人を上回りました。(*1)

福岡県でも、7/21に新規感染者が53人となり、
緊急事態宣言中の4/11(43人)を上回り過去最多になりました。
53人中39人が福岡市で、同市で1日30人を超えたのは初めてです。(*2)

新型コロナウイルスのきわめて狡猾なところ、
それは、「見せかけの無症状」を装うところです。(*3)

人間は生まれつき、自然免疫と呼ばれる免疫システムを持っていて、
細胞が異物に攻撃されたら危険を知らせる警報物質が発せられ、
免疫システムが作動するようになっています。

ところが新型コロナウイルスは、その肝心な警報物質を抑える能力を
持っていることがわかってきたというのです。

そうなると自然免疫は働きませんから、ウイルスは野放し状態。
しかも、警報物質が抑えられるということは、
熱も出ないということにつながり、
ウイルスを山ほど持っているのに無症状、
つまり「見せかけの無症状」の人もたくさんいることになります。

ウイルス排出量のピークは発症前ともされていて、
感染を広げた人の多くが無症状という報告もあります。
熱があり、咳も止まらない状況なら、誰でも用心しますけどね……。
なんてずる賢い!と思わざるを得ません。

『感染症と文明――共生への道』等の著書もある
長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は、
次のように指摘しています。(*4)

――新型コロナウイルスがこれからどうなるかは誰にもわからない。
強毒化するかどうかは、人への感染速度による。
毒性の強いウイルスは、早くよそに感染しないと
宿主の死とともにウイルス自身も終わるので、
宿主が亡くなる前に次から次へと感染することが必要になる。

これに対し、人々が感染防止に十分注意をした場合、
毒性の強いウイルスは感染の機会を失い、
毒性の弱いウイルスだけが勢力を拡大することができる。

感染スピードを遅くすることが、毒性の強いウイルスを抑制し、
毒性の弱いウイルスだけを生き延びさせることになる――

これを聞いて私は、「手洗い」「マスク」「3密回避」といった
感染防止の取り組みが、新型コロナウイルスの弱毒化につながっているならば、
ワクチンや治療薬が確立、普及するまで努力のしがいもあると感じました。

逆に言えば、多くの人たちが努力した緊急事態宣言時のような、
ウイルスにとって“活動”しにくい環境においては、
弱毒化という道を選ばされた(←淘汰圧)新型コロナウイルスが、
感染防止意識が緩んで“活動”しやすくなってくると、
一転、強毒化することもあるんだろうか……なんて考えると、
私にできることは、引き続き「手洗い」「マスク」「3密回避」を
心がけることだと、改めて思いました。

約100年前、全世界で5,000万人もの死者を出したとされるスペイン風邪では、
第2波以降が強毒化し、多くの若者も犠牲になりました。
今回の新型コロナウイルスがそうならないことを祈らずにはいられません。

(*1) 7/22日経電子版
(*2) 7/21毎日新聞(デジタル毎日)
(*3) NHKスペシャル「タモリ×山中伸弥“ 人体vsウイルス” 驚異の免疫ネットワーク」
(*4) ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~歴史から何を学ぶか~」