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ワクチンの政治主導は危険

2020年10月1日

【「アグレッシブ」も場合を選んで】

アメリカ大統領選挙のテレビ討論会、
なんというか……、すごかったです(^^ゞ
討論というより、非難・罵倒合戦という感じで、
「史上最低の討論会」という声も。

中でもトランプ大統領の、
人の話をさえぎって自論をまくしたてる様子は、
日本だと眉をひそめる人も多いと思いますが、
いくつかニュースの解説を見ていると、
支持者は「アグレッシブ」と高く評価するとか。
外国とやり合うためにもこれぐらいじゃないといけない、
ということのようです。

ただ、お得意のアグレッシブも、
時と場合によりけりにしてほしいものです。
新型コロナウイルス用ワクチンについては、特にそう。

トランプ大統領は「10月中には提供開始、
年末までには少なくとも1億回分」としていますが、
CDC(疾病予防管理センター)のレッドフィールド所長は、
「国民に行き渡るのは来年夏ごろ」としています。

提供時期については、それなりの根拠があるのかもしれませんが、
世界屈指の専門家集団のCDCを「間違っている」と言うトランプ大統領は、
11月にある大統領選挙に有利になるよう
期待をあおっているようにしか、私には思えません。

そもそも既存の感染症のワクチン開発には、
数年から十数年の長い時間がかかっていて、
新型コロナウイルスも例外ではないことは、
多くの専門家が語っています。

それでも、パンデミックの悪影響をできるだけ早く収束させるため、
世界中で開発が急ピッチで進められているのが現状です。

私も、一刻も早い有効なワクチンを期待している一人ですが、
それでも、とにかく早くという政治的な意図も見え隠れして登場したワクチンを、
「待ってました!」と接種する気にはなれそうもありません。
副作用リスクが怖すぎます。

こういう全世界的問題、しかも健康・生命に関わる問題こそ、
各国が力を合わせて取りくんでほしいのですが、
9/22に始まった国連総会の首脳級演説では、
各国(主にアメリカ、中国、ロシア)は
自国のコロナ対策の成果をアピールしつつ、
「主導権を握ろうとけん制し合うばかりで
足並みはそろわない」と報じられています。(9/25日経電子版)
トランプ大統領の演説では、最後に、
「皆さんも自国を第一に考えていいんだよ」と言ったとか。

一方で、新型コロナウイルス用ワクチンを複数国で共同購入し、
公平な分配を目指す「COVAXファシリティー」という仕組みもあります。
日本も参加表明していますが、並行して、
個別に欧米の企業とワクチン提供に関して話を進めてもいます。
安定したワクチン供給を得るために、
幅広く手がけているといったところです。

ロスカット魔人さんによる写真ACからの写真

ロスカット魔人さんによる写真ACからの写真


【急がせるより大事なことが】

望むのは、より安全で質の高いワクチンをつくり出すための各国の“協力”。
でも実際は、いわゆる「ワクチン外交」を有利に行うための各国の“競争”。

パンデミックが突きつける厳しい現実ですが、
そんな中、新型コロナのワクチンを製造する欧米の製薬会社9社が、
「安全を最優先する」という共同声明を発表したのは、
ワクチンへの信頼性を高める意味でも望ましいと思います。(9/8日経電子版)

また、ワクチン開発で先行する企業の1つ、アメリカのモデルナ社が、
大統領選前には使用許可を申請しない方針とも伝えられています。(10/1 時事ドットコム)

NHKの『英雄たちの選択 100年前のパンデミック~“スペイン風邪”の教訓~』
という番組で、歴史学者の磯田道史さんが、
政治が先にワクチンを言い出すのは危険、
急がせなくても、開発は医学関係者が頑張るので、
政治は、副作用が出た時にどうするか等のセーフティネットを、
議論し、用意するのが大事、というようなことを言っていました。
私も同感です。

菅首相は、来年前半までに全ての国民に行き渡る
ワクチンの確保を目指していく、と表明しています。

急いでほしいけど慎重に……難しい舵取りとは思いますが、
新政府には頑張ってもらいたいです。