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「信無くば立たず」とは言うけれど……

【政治のせいで意識に緩み?】

新型コロナに関する緊急事態宣言の対象地域に、
大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、栃木、福岡の7府県が追加されました。
これで、東京、神奈川、埼玉、千葉とあわせ11都府県が対象になりました。

またもやさまざまな批判が巻き起こっていますが、
私は、(皮肉にも)安倍前首相がよく引用していた「信無くば立たず」が、
これほど当てはまる時はないように感じています。

「信無くば立たず」は『論語』が出典で、
孔子の弟子の子貢が、政治にとって大切なものを尋ねた際、
孔子は、軍備、食糧の確保、民衆の信頼の3つを挙げました。

子貢は、あえてそのうちどれが1つを省くならと問い、
まず軍、次に食が省かれ、最後に残ったのが信でした。
政治には民衆の信頼が最も重要(「民信無くば立たず」)
というのが孔子の教えです。

ひるがえって、今の菅政権は――
リーダーシップがない、発信力・説得力がない、
危機感がない、非常時なのに真摯に説明しようとしない、
先手先手と口では言いながら実際には後手後手、
場当たり的で朝令暮改もいいところ、
自分たちが守らないことを国民に要請するな……
伝わってくるのは、信頼とはほど遠い怒りの声ばかりです。

個人的には、政権・政治家側にも問題がある一方で、
メディアに煽られている面もある気がしています。
感染抑制と経済活動はどちらも大事ながら、
両方を立たせることは極めて困難であることは、
この1年間、ずっと言われ続けてきたことで、
ほとんどの人が理解していることと思います。
それぞれの立場で意見が異なることも、当たり前にあるでしょう。

そうであるにもかかわらず、政治への信頼が失われると、
何を言っても、やっても、足りないところばかりがフォーカスされ、
聞く耳を持たない状態になってしまいます。

こわいのは、コロナ禍においては、それが自分の身や、
周りに実害となって返ってくる可能性があること。

もちろん、政治への批判がいけないということではありません。
ただ、政治が頼りないからといって、腹立ちまぎれにでも、
感染防止策をいい加減にしてしまうことがあるとしたら、
いわゆる「コロナ慣れ」と同様、賢明ではありません。
感染状況は昨年4月の緊急事態宣言時より
明らかに悪化しているのですから、なおさらです。

明日(1/16)はいよいよ大学入学共通テスト1日目。
11都府県に緊急事態宣言が発令されている中で迎える異例の受験シーズンです。
受験生やご家族、先生方に油断はさらさらないでしょうけれども、
不可抗力的にこれ以上コロナに振り回されることがないよう
祈らずにはいられません。

牛&あまびえ_改

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