NOTITLE

【新型コロナ累計感染者数3000万人突破】

アメリカのジョンズ・ホプキンス大の集計によれば、9/18に、
新型コロナウイルスの累計感染者数が3000万人を超えました。
8/10に2000万人に到達してから、1カ月余りで1000万人の増加。
新型コロナに夏場は関係ないようですね……。

インドが新たな感染拡大の震源地になっていて、
ヨーロッパでも感染者が再び増加しています。
累計死者数は94万人超。
国別の累計感染者数は、米国が最多の660万人超で、
インドが約500万人、ブラジルが400万人超となっています。
日本の累計感染者数は約7万7000人です。(9/18日経電子版)

ホプキンズ大ダッシュボード

【きっかけは故郷への電話】

ところで、新型コロナウイルスに関する報道で、
感染者数や死者数の引用元として頻繁に目にするのがジョンズ・ホプキンス大学。
世界最古の公衆衛生大学院を持つ、医学系の名門大学です。

同大学が提供する世界の感染状況を示す地図、通称「ダッシュボード」は、
国や自治体、病院等から集めたデータをまとめ、
国ごとの感染者、死者、回復した人の数等をほぼリアルタイムで反映します。

世界中の報道機関が引用元として使っていて、関係者の間では
「ゴールド・スタンダード」とも呼ばれているとか。

このダッシュボードをつくったのは、同大学工学部の大学院生で、
中国からの留学生、エンシャン・ドンさんであることを、
私はBS1スペシャル『見えざる敵に挑む~AIが迫る感染爆発~』
という番組で知りました。

開発のきっかけは、ドンさんの故郷(武漢の北に位置する山西省)に住む
家族へかけた電話だったそうです。
家の近くで新型コロナウイルスの患者が出たという話になり、
そのときにドンさんが感じたのは、
感染がどこまで広がっているかわからないという不安でした。

そこでドンさんは、正確な情報を人々に伝える方法はないかと、
指導教授である同大学システム科学工学センターの
ローレン・ガードナー准教授に相談しました。

今中国で起きていることの情報をドンさんが集めていることを知った
ガードナー先生は、すぐにダッシュボード作成を勧めたそうです。

ドンさんが在籍する工学部のチームは、以前に、
ハシカやジカ熱の流行を示す地図をつくった実績がありました。
その技術をいかして、わずか一晩で公開にこぎつけたとのこと。
WHO(世界保健機関)に先んじること5日ほどだったといいます。

ダッシュボード公開当初(1月22日~)、感染者を示す赤い丸は320個。
ドンさんはそのデータを1人で集め、自ら入力していました。
ところが感染は急速に世界中に拡大し、
データの更新作業が間に合わなくなりました。
そこで活用したのが人工知能(AI)です。

報告される情報は収集方法も様々で、ばらつきがありました。
これらをすべて確認し、整理するのは困難なので、
AIを活用し、情報を集約する作業を自動化したのです。

ドンさんがAIに学習させたのは、国や自治体ごとの情報を正確に選別し、
さらに、集計したデータが正しいかどうか確認することまでAI自身が行うこと。
これにより精度が飛躍的に高まりました。

ドンさんは言います。
――今でも、多くの国、特に発展途上国には、
新型コロナウイルスの感染状況について正しいデータを
入手する手だてがないところもあります。
このダッシュボードは人類に貢献できたのではないかと思います――

7月にアメリカのトランプ政権が、留学生ビザの制限を表明し、
多くの反発を受けて撤回するということがありました。

もしドンさんのような留学生が締め出されていたら……。

ウイルスには当然国の違いなど関係ありません。
以前本欄でも取り上げた、思想家ジャック・アタリ氏の
「利他主義とは最も合理的で自己中心的な行動」ではありませんが、
新興感染症をはじめ、気候変動問題や食料問題、エネルギー問題等、
世界規模で協力しないと解決しない問題に対しては、
一見、得に見える自国中心的なやり方は、
かえって国益を損ねるという好例ではないでしょうか。

【安易に整合性を図らない】

Eテレで放送されている『100分de名著』という番組をご存知ですか?
原則毎月1冊、いわゆる名著とされる本を取り上げて、
読みどころや書かれた背景などを解説してくれる番組です。
毎週月曜日夜10時25分から放送で
(水曜日朝5時半からと同昼12時から再放送)、
1回25分、月に4回で100分というわけですね。

そこで今月取り上げられているのが、デフォー『ペストの記憶』。
5/16付本欄(「もうひとつの『ペスト』が問いかけるもの」)でもご紹介した作品です。
(私が読んだのは、平井正穂訳の『ペスト』(中公文庫)です)

1665年(日本では江戸時代、第4代将軍徳川家綱の頃)に
ロンドンで大流行したペストの話で、
人々の言動が今のコロナ禍を思わせるところが多々あり、
「人間は変わらんなあ」と“月並みに”思った私ですが、
番組(9/7放送の第1回)では、
指南役の武田将明先生(英文学者・東京大学准教授)が
さらに深い視点を示してくれました。

中でも、語り手(H.F)の意見がしばしば矛盾していることに対する見方は、
「そうか!」と響くものがありました。
正解がわからない状況下で、揺れるところをちゃんと書いていることが、
今読んでもおもしろい、というのです。

もしH.Fが、例えば自分は神の意志に沿っていると確信があり、
言動が一貫していたとしたら、おもしろくない。
うまく説明できないことを、うまく説明できないまま語る。
安易に整合性を図らずありのまま描いている点が優れている、と武田先生。

それを受けて出演者のタレント、伊集院光さんが語った言葉がまた、
グサッ!と私に刺さりました。

――コロナ禍が何カ月も経って思うのは、
正直に揺れたと国のトップの人たちに言ってほしかった。
わからないことがいっぱいあって、
こうしてみたけど結果的に違った、
でもそのときはわからなかったんです、といった揺れを
なかったことにされるのが、
僕の中でちょっとした不信感につながっている気がする――

うーん、そうなんだよなあ。
揺れたなら揺れたと正直に明かすことは、
8/18付本欄(「“弱さ”を隠さないのが“強さ”」)でも触れた、
共感できるリーダーに共通する“弱さ”
というものにも通じるんじゃないかと思います。

明後日(9/14)に行われる自民党総裁選で、
新しい日本のリーダーが誰になるか決まる見込みです。
誰であろうと、“弱さ”をごまかすようなことはしない、
共感できる政権であってほしいと切に思います。

100分deテキスト

【誹謗中傷で何が良くなる?】

高校の部活動などで新型コロナウイルスの集団感染が相次いで発生し、
学校や生徒がネット上などで叩かれる事態が報じられています。(*1)

「マスクも着けずにコロナをばらまいている」も辛いですが、
「日本から出て行け」「学校をつぶせ」は異常ですし、
生徒の写真がネットで拡散されるにいたっては……。
生徒の中には、「寝られない」などの症状も出ているようです。

記事では、「中傷している人は、コロナで蓄積したうっぷんを、
クラスターという分かりやすい対象を攻撃することで発散しているのだろう。
生徒らは懸命に打ち込んできた部活を否定されると、
自分の人格全てを否定されたように感じてしまうこともある。
トラウマになる危険性もあり、安易な批判が及ぼす影響を考えるべきだ」という、
臨床心理士の藤井靖先生(明星大准教授)のコメントがありました。

コメントにある「うっぷん(鬱憤)」とは、
文字通り、心の中に抑えている怒りや恨みのこと。
「鬱憤を晴らす」という言葉があるように、
それは「晴らす」ものであって、抱え続けるのは望ましくありません。

ただそのやり方が誹謗中傷では、“正義”のためどころか、
感染者が口を閉ざして必要なデータが得られない事態を招いたりして、
かえって公衆衛生の足を引っ張っているだけだと思います。

かく言う私も、腹を立てる気持ちはわかります。

自分も含め多くの人は感染予防の努力や我慢をしているのに、
感染するような人は自分勝手に行動している。
しかも、当人だけが感染するだけならまだしも、
まじめにやっている人にうつす危険まである。
そんなのは責められて当然だ――といった感じでしょうか。

でも、じゃあ私自身は完璧に感染防止対策ができているかというと、
とてもそう言い切れる自信はありません。
手洗い、マスク、3密回避は、常に心がけているつもりですが、
普通に生活している以上、ある程度の隙は避けられるものではありません。
もしこれで感染し、非難された上に、後々まで肩身が狭いとなれば、
正直、やってられません。

感染しても許されるラインなんてあるのか、
それはどうやって判断できるのか、
それとも、どんなケースでも感染=悪なのか……
なんだか、先が見えない袋小路のようです。

1155712

【日本だけ2ケタ】

社会心理学者の三浦麻子先生(大阪大学大学院教授)によれば、
新型コロナに感染する人を自業自得だと思う人の割合は日本が突出して高く、
アメリカ1.0%、イギリス1.5%、イタリア2.5%、中国4.8%に対し、
日本は11.5%だそうです。(*2)

こうした傾向は、日本人の規律性の高さにもつながる面もあって、
一概に否定的に捉えられるものではないのかもしれません。
ただ、排他的で不寛容な息苦しい空気のモトでもあると思います。

感染した人は、一人としてそれを望んではいなかったでしょう。
肺など臓器障害の後遺症のみならず、
回復したとしても、心理的・社会的ストレスで、
いまだに苦しんでいる人も少なくありません。

三浦先生は、「日本でも9割の人たちが
感染はその人の責任ではないと思っている。
その人たちが、ストレスを感じている感染した人に、
あなたのせいじゃないよと、あたたかいサポートをすることが大切」
と訴えています。

そんなにキレイには割り切れない場合もあるかもしれませんが、
「明日は我が身」という思いは忘れないようにしたいです。

(*1) 8/23讀賣新聞オンライン
(*2) NHKクローズアップ現代+『新型コロナ 元感染者たちの告白』。3~4月、非感染者を対象に調査

【お墓参りにも影響が……】

残暑(酷暑)お見舞い申し上げます。
みなさん、お盆はいかがお過ごしでしたでしょうか。

今年はコロナ禍でいつもとはだいぶ違うお盆になりました。
飲み会の類が中止になるのは仕方ないとして、
私の実家の墓がある霊園(福岡県宮若市)からは、
以下のように書かれたお願いの手紙が来ました。

①できることなら各家庭から代表が1名・・・
②高齢者 持病のある方、今年はパス
③人と人との間隔は出来るだけ2メートル
④会話をするときは真正面を避ける
⑤会話をするときはマスク
⑥帰宅したら手や顔を丁寧に洗う

とにかく人が集まるのがリスクというのですから、
やりにくいことこの上ないですよね。

お盆

【共感できるリーダーに共通するのは“弱さ”】

さて、前回、コロナ禍という国難において、
首相は自分の言葉で語ってほしい、という旨を書きました。
体裁のいい言葉は並んでも、心に響いてこないと思っているからです。

その後、今月刊行されたばかりの、朝日新聞社編
『コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線』の中に、
心に響いてこない理由について、
「ああ、なるほど!」とうなずける指摘を見つけました。
政治学者、中島岳志さんの言葉です。

――僕は安倍首相の「声」を長年聞いていないと思っています。
つまり、官僚が書いた原稿をそのまま読むわけです。
それが国民にも見えてしまっている。

逆に、今回目立ったリーダーに共通するのは「弱さ」。
ドイツのメルケル首相と米ニューヨーク州のクオモ知事です。
メルケル氏がなぜあんなに共感を得たかというと、
「私も心配。私も弱い」という視点から連帯を訴えたからです。
演説でも、感染者や死者の数字について
「これは数字じゃない。具体的なお父さんであり、
お母さんであり、おじいちゃんの話である」と語る。
クオモ氏も同様です。
自分たちの痛みと同じところに立っていると思える。
弱さが見えるリーダーが共感されているのです。
弱さを隠さない人間こそ、強さを持っている。
首相は自らの弱さと向き合い「生の声」を届けるべきです。――

「弱さが見えるリーダーが共感されている」というのは、私も大いに同感です。

リーダーが弱みを見せてはいけないという考え方もあるでしょうけど、
それが、非を認めないとか、都合の悪いことを率直に明かさないとかにつながると、
某大統領ではありませんが、きわめて逆効果と思えます。
特に、新型感染症の流行という危機下では、なおさらではないでしょうか。

安倍首相の健康不安説が流れていて、
それはそれで心配ですけど、それとこれとは話が別。
リーダーに見せてほしいのは、その手の“弱さ”ではありません。

【SARS禍で学んだ4つの教訓】

8/10、アメリカのアザー厚生長官が台湾を訪れ、蔡英文総統と会談し、
台湾が新型コロナ対策に成功したのは、
「台湾社会の透明性と公開にあり、民主主義の価値を示した」と称えました。
初動の不手際や情報公開の遅れが指摘される中国の強権体制を当てこすった、
とも見られています。(8/10日経電子版)

当然、中国は猛反発していますが、政治的な思惑はともかく、
台湾が、迅速な水際対策や、ITを駆使したマスク提供など、
数々の手立てが奏功し、新型コロナ感染の波を抑え込んだのは事実。
多くの国から賞賛されていることもご存知の通りです。

6月に放送されたETV特集「パンデミックが変える社会~
台湾・新型コロナ封じ込め成功への17年~」という番組は、
いろいろなことを考えさせてくれました。

2003年に台湾がSARS(重症急性呼吸器症候群)に襲われた際、
当時はまだ原因や感染経路、診断方法や治療法もわかりませんでした。
事前通告なくいきなり病院を封鎖し、感染・非感染にかかわらず、
病院内にいるすべての人を例外なく閉じ込めるなどして、混乱を招きました。

SARS禍から得た教訓は――
(1)水際対策
香港から戻った感染者をキャッチできなかった。
中国の反対でWHO(世界保健機関)に加盟できていないため、
世界の最新情報がつかめず、水際対策の失敗につながった。

WHOに頼れないので、国際的な情報を調べる独自の情報網を構築。
迅速な水際対策につながった。

(2)指揮系統
中央と台北市で、SARS対策に関する意見の相違があった。

中央と地方のすべての取り組みを一元化する感染症対策の組織をつくった。
今回の新型コロナ禍では、すべての組織に対し強い権限を持つ
「中央感染症指揮センター」が毎日会見を開き、
記者や市民からの質問に時間無制限で答えた。

(3)検査技術
当時の台湾では、PCR検査技術が普及してなく、
レントゲンや臨床検査を組み合わせて感染の有無を推定していた。
誰が感染しているのか明確に診断できないため、
建物の中で感染者と非感染者を分離することができなかった。

全土に検査ステーションを161カ所設置し、
1日最大5800件の検査が可能になった。
新たな検査技術の開発も進められている。

(4)パニックによる物資不足
マスクだけでなく、デマ情報でトイレットペーパーも不足。
医療物資もひっ迫した。
市民の間では当局への不信感から、
自宅隔離の要請を無視する者や、陰謀説を流す者まで現れた。

伝染病防治法を改正。デマやフェイクニュースに対処するため、
悪質なデマ情報に対する罰金(300万台湾ドル≒約1000万円)や、
隔離違反者への罰金も規定された。
市民の疑問や不安を吸い上げるため「1922」というホットラインを設置し、
寄せられた声に1つずつ答えた。

台湾2

【監視システムを受けいれる信頼感】

さらに、改正伝染病防治法では、
感染の疑いがある者に対し自宅隔離を命じる権限が
当局に与えられました。

こうした隔離政策に使われているのが、
「デジタルフェンス」と呼ばれる台湾独自の監視システムです。
複数の通信基地局の電波の強さから位置情報を割り出し、
自宅から外に出たり、電源が切られていたりすると、
違反者として当局に通報される仕組みです。

こうした監視に対し、市民はどう感じているのか。
番組では、若い女性と年配の男性の声が紹介されていました。

女性「民主主義と矛盾した政策だと思います。
ですが、民主主義のもとに多くの同意を得た政策であれば、
実行が可能だと思います」

男性「当局はある程度の時間が経ったらデータを削除すると保証しています。
市民も当局を信じ、緊急事態の対応であることを理解して
この政策を支持しているのだと思います」

台湾3

【自分の言葉で語ってほしい】

さて、日本ではどうでしょう。

実は日本でも、2009年新型インフルエンザ流行時に、
マスクや医療機器の不足、医療崩壊の危険性が問題になりました。
その対策を具体化しようとしている時、
2011年に東日本大震災・原発事故が起きました。
新興感染症対策の重要性は理解されながらも、
具体化されるまで至らず、やむを得ないものの、
社会的な関心もその対応に移りました。(*1)

新型コロナウイルス禍でどれだけ教訓を得られるか。
台湾から学ぶことは多々あるでしょうけど、
あえて1つあげるとすれば、国民に対する丁寧で誠実な
コミュニケーションがとても重要ではないかと思っています。

その時に大事なこと。
私も大いに同感の、ジャーナリスト増田ユリヤさんの言葉を引用します。

――新型コロナウイルスに関わる記者会見を
何度も安倍首相はしていますけれど、
今ひとつ、その会見での言葉が心に響いてこないんです。
安倍首相自身は、現状をどう考え理解しているのか、
なぜその政策を立案したり、国民に協力をお願いしたりしようとしているのか、
ドイツのメルケル首相のように、
自身の内から湧き出る言葉で語りかけてほしいんですよね。
とはいえ、ちょっとでも突っ込まれるような隙をつくりたくないから、
当たり障りのない言葉が並び、
体裁だけを整えてしまうんでしょうね。――(*2)

もちろんこれは首相に限らず、すべての政治家に言えることでしょう。

もう1つ、上記でも触れられていたメルケル首相の言葉(*3)から引用します。

――開かれた民主主義のもとでは、
政治において下される決定の透明性を確保し、
説明を尽くすことが必要です。
私たちの取組について、
できるだけ説得力のある形でその根拠を説明し、発信し、
理解してもらえるようにするのです。――

「透明性」「説得力」……今の日本の政権に最も足りないものかもしれませんね。
透明性がないため(≒信頼がないため)、
たとえ望ましいことを言ったとしても説得力がないとしたなら、
政府も国民もお互いに不幸でしかないと思います。

広島と長崎で開かれた首相の記者会見が、
新型コロナが感染再拡大しているなかで久しぶりであり、
しかも短時間で切り上げられたとあっては、
(もちろん“正解”が非常に難しい状況であることは承知の上で)
国難時に必要な信頼感が薄れていくばかりのように思えてなりません。

(*1) 歴史学者飯島渉氏(BS1スペシャル『コロナ新時代への提言~変容する人間・社会・倫理~』)
(*2) 池上彰+増田ユリヤ『コロナ時代の経済危機 世界恐慌、リーマン・ショック、歴史に学ぶ危機の乗り越え方』
(*3) 3/18行われたテレビ演説。全文がドイツ連邦共和国大使館・総領事館のWebサイトに掲載されています

 

【「倉庫」と「工場」の使い分け】

英文学者の外山滋比古さんが、7月30日、亡くなられました。(8/6讀賣新聞オンライン)
専門の英文学のほか、日本語論や教育論でも活躍されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

数多い外山さんの著書のなかで代表作の一つである『思考の整理学』は、
「東大生や京大生に読まれる本」として話題になり、
ロングセラーになりました。

私は東大生でも京大生でもありませんが、
少なくとも3回は読んだ本です。

特に印象的だったのは、忘れることを恐れてはいけないという点。

人間の頭は、保管場所としての倉庫の役割もさることながら、
新しいことを考え出す工場でなくてはいけない。
倉庫の整理は、そこにあるものを順序よく並べる整理に対し、
工場の整理は、作業のじゃまになるものを取り除く整理、すなわち忘却。
人間の頭を倉庫として見れば危険視される忘却だが、
工場として能率をよくしようと思えば、
どんどん忘れてやらなくてはいけない、というのです。

初めて読んだ時は、「そうかあ」と勇気づけられたものです、
ただ私の場合、じゃまになるものを忘れるというより、
そもそも憶えることができていない感が大いにありますけど……。

例えば棋士の羽生善治さんは、「倉庫」と「工場」を
高いレベルで使い分けている一人と思います。

羽生善治+NHKスペシャル取材班『人工知能の核心』という著書のなかで、
羽生さんは次のように述べています。

――最新の動向を吸収していると時間がなくなり、
自ら創造的な手を編み出す研究に時間を割けなくなります。
しかも、情報を収集して対策を練りすぎて、
おかしな思い入れが生まれることもあるのです。
例えば、新しい戦型を頑張って研究したのに、
勝負の頃にはその戦型が時代遅れになっていることがあります。
すると、つい容易に捨てられずに、判断が遅れてしまうのです。
ですから、過去の蓄積を惜しまずに捨てていく覚悟も、常に持っています。――

もちろん羽生さんに限らず、何事も一流と称されている人たちは、
現状に合わせて柔軟に思考を整理されているんだろうなと感じ入ります。

いろんな情報が飛び交う新型コロナ禍においても、
その姿勢は心がけたいものです。

【感染しにくい環境がウイルスを弱めることに!?】

都市部を中心に新型コロナウイルスの感染再拡大が止まりません。
昨日(7/22)全国で確認された新規感染者は791人となり、
これまで最多だった4月11日の691人を上回りました。(*1)

福岡県でも、7/21に新規感染者が53人となり、
緊急事態宣言中の4/11(43人)を上回り過去最多になりました。
53人中39人が福岡市で、同市で1日30人を超えたのは初めてです。(*2)

新型コロナウイルスのきわめて狡猾なところ、
それは、「見せかけの無症状」を装うところです。(*3)

人間は生まれつき、自然免疫と呼ばれる免疫システムを持っていて、
細胞が異物に攻撃されたら危険を知らせる警報物質が発せられ、
免疫システムが作動するようになっています。

ところが新型コロナウイルスは、その肝心な警報物質を抑える能力を
持っていることがわかってきたというのです。

そうなると自然免疫は働きませんから、ウイルスは野放し状態。
しかも、警報物質が抑えられるということは、
熱も出ないということにつながり、
ウイルスを山ほど持っているのに無症状、
つまり「見せかけの無症状」の人もたくさんいることになります。

ウイルス排出量のピークは発症前ともされていて、
感染を広げた人の多くが無症状という報告もあります。
熱があり、咳も止まらない状況なら、誰でも用心しますけどね……。
なんてずる賢い!と思わざるを得ません。

『感染症と文明――共生への道』等の著書もある
長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は、
次のように指摘しています。(*4)

――新型コロナウイルスがこれからどうなるかは誰にもわからない。
強毒化するかどうかは、人への感染速度による。
毒性の強いウイルスは、早くよそに感染しないと
宿主の死とともにウイルス自身も終わるので、
宿主が亡くなる前に次から次へと感染することが必要になる。

これに対し、人々が感染防止に十分注意をした場合、
毒性の強いウイルスは感染の機会を失い、
毒性の弱いウイルスだけが勢力を拡大することができる。

感染スピードを遅くすることが、毒性の強いウイルスを抑制し、
毒性の弱いウイルスだけを生き延びさせることになる――

これを聞いて私は、「手洗い」「マスク」「3密回避」といった
感染防止の取り組みが、新型コロナウイルスの弱毒化につながっているならば、
ワクチンや治療薬が確立、普及するまで努力のしがいもあると感じました。

逆に言えば、多くの人たちが努力した緊急事態宣言時のような、
ウイルスにとって“活動”しにくい環境においては、
弱毒化という道を選ばされた(←淘汰圧)新型コロナウイルスが、
感染防止意識が緩んで“活動”しやすくなってくると、
一転、強毒化することもあるんだろうか……なんて考えると、
私にできることは、引き続き「手洗い」「マスク」「3密回避」を
心がけることだと、改めて思いました。

約100年前、全世界で5,000万人もの死者を出したとされるスペイン風邪では、
第2波以降が強毒化し、多くの若者も犠牲になりました。
今回の新型コロナウイルスがそうならないことを祈らずにはいられません。

(*1) 7/22日経電子版
(*2) 7/21毎日新聞(デジタル毎日)
(*3) NHKスペシャル「タモリ×山中伸弥“ 人体vsウイルス” 驚異の免疫ネットワーク」
(*4) ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~歴史から何を学ぶか~」

新型コロナウイルス禍の中、今年も九州地方をはじめ、
各地で豪雨被害が発生しています。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、
被災された方々や、そうした方々をサポートされるみなさまに、
心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。


【授業がオンラインだけなら現留学生もNG】

アメリカ移民税関捜査局(ICE)は、9月以降の新学期に向け、
ビザ発給の規則を変更し、すべての授業がオンラインの場合、
留学生にビザを発給しないと表明しました。(日経電子版2020.7.8)

対象は新規のビザだけでなく、すでに在籍する学生にも、
条件を満たせなければ帰国か、対面授業をしている学校への転校を求められます。

これにより、アメリカの大学や高校に留学する際は、
対面式の授業を受けている証明書を学校から受け取り、
提出することが義務づけられます。

トランプ政権は、秋に授業を再開するよう学校に求めていて、
大学の収入源でもある留学生へのビザ発給要件を厳しくすることで、
圧力を強める狙いがあると見られています。

ご存知のように、アメリカでは新型コロナウイルスがまったく収まってなく、
ハーバード大学がオンライン授業に完全移行すると発表するなど、
多くの大学でオンライン化が進んでいる最中での政策です。

当然、優秀な人材が集まらなくなり、
将来の競争力を損なうと、反対の声も上がっています。

ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学は、
「学生の安全を考慮せず、対面授業を再開するよう圧力をかけるもの」と批判して、
留学生ビザ制限の中止を求め、マサチューセッツ州の連邦地裁に提訴しました。

国際教育協会によると、2018~19年のアメリカへの留学生は、
全大学生の5.5%に当たる約109万人。
トップは約37万人の中国で、アジアからの学生が全体の7割超を占めます。
日本からも1万8,000人が留学していて、8番目に多い人数です。

この数字を見ると、これもまた米中対立の一環で、
中国への強い態度を誇示したいようにも見えてしまいます。

11月の大統領選挙に向け支持者へのアピールも大事なんでしょうけど、
トランプ政権の、分断や断絶をよしとするような排他的なやり方は、
結局、トランプ大統領支持者も含め誰も幸せになれないような気がしてなりません。

ちなみにトランプ政権は6月、専門技術者等を対象とする「H1B」等、
複数の就労ビザの発給を年内は停止するとも発表しています。

 アメリカ留学部屋

【進化にかけた時間がまだまだ足りない?】

話はトランプ政権下のアメリカに限りません。

新型コロナウイルス禍のもと、世界中が連帯する重要性を
多くの識者が声をそろえて訴えていますが、
残念ながら現実はほど遠いと思えます。

世界どころか、一国の中でも分断・断絶が広がっていて、
デマやフェイクニュースの拡散や、それにともなう
社会的スティグマ(差別・偏見のレッテル貼り)、
感染予防意識の差から起こる様々なトラブル、
死亡率にもつながる格差、根深い人種差別等々、
あぶり出される問題は山積です。

私は、その手の報道やドキュメンタリーを見るたび、
人類はウイルスに“賢さ”で負けているのではないかと考えさせられます
(ずいぶん大きく出たなと笑われるかもしれませんが)。

というのもウイルスは、ウイルス自身の多数の個体の死から学んで、
種として生き残っていくために適した戦略を、
全体で協力して実行できているように見えるからです。

新型コロナウイルスは、軽症や無症状でも感染を広げられる戦略を持っています。
他にも――
プラムポックスウイルス……毒性を一時的に弱め、監視の目をかいくぐる
ポリドナウイルス……寄生バチの体内に潜み、ガの幼虫に寄生するのを助ける
狂犬病ウイルス……イヌなどを狂暴にし、かみついた傷口から感染が広がる
ライノウイルス……風邪の原因のひとつ。命を奪わず、流行する (*1)

このように生存戦略は多種多様。まさに、
《単細胞生物の細菌に知能はないが、
種としての「集団知」がはたらいているのである。》(*2)
ということが、ウイルスにも言えると思います。

一方、「知性」を持っているはずの人類は、
戦争や災害等で個体死を繰り返してきましたが、
はたして人類としての「集団知」を得られているのでしょうか。

世界各国が感染症危機対策に割く予算は、
国防予算の数10分の1に過ぎませんが、
推計される死者数は感染症のほうが多い(*3)という点ひとつとっても、
人類は賢くない気が……。

現生人類(ホモ・サピエンス)が出現したのは約20万年前なのに対し、
ウイルスは約40億年前からずっと続いてきた「幸運な先祖」の子孫です。(*4)
加えて、いわゆる代替わりのスピードが段違いです。
例えばインフルエンザウイルスは、哺乳類が100万年かかる進化を
1年でやってのけるほど変異が激しいのです。(*5)

歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、次のように指摘しています。
《歴史上の戦争や革命の大半を引き起こしたのは食糧不足ではない。
(略)こうした惨事の根本には、人類が数十人から成る小さな生活集団で
何百万年も進化してきたという事実がある。
農業革命と、都市や王国や帝国の登場を隔てている数千年間では、
大規模な協力のための本能が進化するには、短過ぎたのだ。》(*6)

また、日本が誇るSF作家、小松左京氏の『復活の日』にも、
《人類は「文化」の名にあたいするものをもつには、まだ若すぎたのだ。
「類」としての全体意識が普遍化されてすらいないのだ。
集団の中の「個」と「全体」の、原初的な調和段階にさえ達しておらず、
つい二千年ほど前に、ようやくぬけ出しかかったばかりの野獣状態に
まだ首までつかっており、かみあいや、とも食いや、集団殺戮の血のさわぎに、
ともすればのみこまれてしまう。》
という一節があります。

人類は、もう一段階も二段階も進化しなければウイルスに追いつけない、
なんて言っては言いすぎなのでしょうか。

最後に、再びハラリ氏の言葉を紹介します。
《第一に、国境の恒久的な閉鎖によって自分を守るのは
不可能であることを、歴史は示している。
第二に、真の安全確保は、信頼のおける科学的情報の共有と、
グローバルな団結によって達成されることを、歴史は語っている。》(*7)

中国寄りと非難していたWHO(世界保健機関)から、
来年7月6日をもって脱退すると正式に国連に通告したトランプ政権。
連帯や協力によって「集団知」を求める声は、
アメリカの大統領にはノイズでしかないのでしょうか。

(*1)日経電子版2020.5.23『ウイルスの底知れぬ怖さ 驚異の生存戦略に迫れ 驚異のウイルスたち(1)』
(*2)スティーヴン・ジョンソン(矢野真千子=訳)『感染地図 歴史を変えた未知の病原体』
(*3)2017年アメリカ・ドイツ制作「見えざる病原体」(NHK BS1で放送)
(*4)石弘之『感染症の世界史』
(*5)石弘之『感染症の世界史』
(*6)『サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福』(柴田裕之=訳)
(*7)『TIME』2020年3月15日「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を」

【不安の源泉「プライバシー」に最大限配慮】

6/19にリリースされた厚生労働省の接触確認スマホアプリ「COCOA(ココア)」
(「COVID-19 Contact Confirming Application」)。
COCOAユーザー同士の「1m以内、15分以上」の接触を自動記録するようになっていて、
ある利用者Aさんが新型コロナウイルスの検査で陽性と判明した場合、
保健所から発行される「処理番号」をAさん自身がスマホに入力すれば、
入力時点からさかのぼって14日以内にAさんと接触していた
他のCOCOAユーザーに通知が送られる、という仕組みです。

しかし、スタートしてすぐ、COCOAに複数の不具合が出てしまいました。
誤った「処理番号」を入力してもエラーにならず完了扱いになったり、
利用開始の日付が誤って表示される、というものです。

7/3現在、不具合は修正され、一時停止されていた「処理番号」の発行も始まっています

この種の公衆衛生に関わるアプリは、どれだけ普及するかが有効性の上で重要です。
人口の6割以上が使うとロックダウンを回避できる効果があると言われていますが、
インストールできるシステム要件がある上に、
日本では、スマホやLINEの人口普及率と同等ということで、
相当高いハードルではあります。

ただ、感染状況に地域差がある現状で、都市部と地方の普及率を
同じように考えるのは現実的ではないという声もあります。

私は福岡県の片田舎に住んでいますが、今のところ、
周りでCOCOAをインストールしている人は見たことがありません。
「(普及しないという前提で)自分だけ入れても仕方ない」とか、
「プライバシーが気になる」という声が多数のような気がします。

ちなみに「COCOA」は、以下のような仕様になっています。
〇アプリに氏名や住所、電話番号は登録しない。
〇ユーザー同士の接触データは匿名で、感染者や濃厚接触者の情報は知らされない。
〇政府もデータを収集せず、感染者や濃厚接触者の行動履歴の追跡には使わない。
〇データは14日経過後に自動的に無効化され、アプリを削除した場合も記録が消去される。

官民連携の新型コロナウイルス感染症対策テックチームの事務局長として、
COCOAリリースの調整役を務めた平将明内閣府副大臣(IT政策・行政改革等担当)は、
「一番配慮したのはプライバシーで、各国の取り組みと比べても、
最もプライバシーに配慮した仕組みになっている」としています。(*1)

ただ、プライバシーに最大限配慮すると、例えば感染経路の特定には使えないなど、
疫学的な有効性はどうなのかといった問題もあり、とてもバランスは難しいと思います。

ちなみにシンガポールでも同様のアプリがリリースされましたが、
データは国が管理する仕様が敬遠され、普及率は2~3割だそうです。(*2)

「公衆衛生は政府と国民相互の信頼関係で成り立っている。
国民の協力がなければ政府は保健衛生の政策を実行できない。
今世界中で起きているのは、政府への信頼の低下。
公衆衛生は大きな代償を払わされている」

これは、2017年にアメリカとドイツが共同で制作した『見えざる病原体』という番組で、
ローリー・ギャレット米外交問題評議会研究員が語っていた一節です。

2020年の日本でも、状況はほぼほぼ変わっていないなら……

この点に関しては、ITジャーナリストの西田宗千佳さんが
『ITmedia NEWS』で述べていることが、個人的には「なるほど」度は高いです。

――(COCOAは)非常にリスクが低いアプリにすることを
多くの人が検討した上で作られている。

「胡散臭(うさんくさ)い」「即効性がなくて意味が薄い」
という意見はよく分かるが、その意識が、
作ったアプリを無駄にすることにもつながる。
リスクが低いことを勘案し、できるだけ多くの人が利用し、
その上で問題を洗い出してより良い状態を目指す必要がある。

助け合い運動が「無駄」だとは、筆者には思えない。――

厚生労働省によれば、7/2午後5時までに約499万件ダウンロードされたというCOCOA。
マスクや3密回避は多くの人が自主的に取り組んでいますが、
同じく“公衆衛生上必要”とされるCOCOAは、
日本ではどこまで受け入れられるでしょうか。

(*1)『日経モーニングプラスFT』(2020.6.24)
(*2) NHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」

【やることは変わらない】

ユニクロが発売した「エアリズムマスク」が大人気で、
発売初日の6/19には多くの人が並んでいる様子が報じられました。
マスクを求めて「密」になっているのは皮肉ですが、
暑い季節にマスクをどうするかは、切実な問題ではあります。

そもそもマスク着用は、100年前のスペイン風邪がきっかけで広まったそうです。
1920年、当時の内務省衛生局が自治体に配布したポスターでは、
次のような注意喚起がされています(*1)
≪汽車電車人の中ではマスクせよ 外出の後はウガヒ忘るな≫

≪流感豫防〈かぜよぼう〉
一、近寄るな――咳する人に
二、鼻口を覆へ――他〈ひと〉の為にも身の為にも
三、豫防注射を――轉〈ころ〉ばぬ先に
四、含嗽〈うがい〉せよ――朝な夕なに≫

昔も今も、やることは変わらないですね。

ちなみに、当時もマスクの高額転売はあったそうです。
1920年1月15日付東京日日新聞には、
「感冒流行に乗じ口蓋〈マスク〉の馬鹿値上」という見出しで、
「奸商〈かんしょう〉の仕業」(=悪徳商人の買い占め)と報じられています。(*2)

こんなことも、変わらないんですね……。

ウイルス研究の第一人者である河岡義裕・東京大学医科学研究所教授は、
「100年前のスペイン風邪のときも、
今でいうソーシャルディスタンスが呼びかけられていた。
100年経っても我々にできることはそれと変わらない。
ワクチンや治療薬がすぐにできるわけでもない。
感染している人に近づかないことしかない」としています。(*3)

また、一般向け科学雑誌としては世界最古(1845年創刊)とされる
『サイエンティフィック・アメリカン』誌の編集長、フレッド・グテル氏は、
著書『人類が絶滅する6のシナリオ』の中で、
「ウイルスに関する限り、医療技術は過去一世紀の間、
ほとんど進歩していないと言える。
ウイルス学者たちは確かに、実験室で何度か奇跡を起こしてきた。
インフルエンザウイルスの遺伝機構を観測することにも成功したし、
新型ウイルスの人工合成もできるようになっている。
だが、個々のウイルスがどのようにふるまうのかは、
実際に観察するまで予測できない」と述べています。

(*1)『池上彰緊急スペシャル! 世界を変えた新型コロナ』
(*2) 同上
(*3) ETV特集『緊急対談 パンデミックが変える世界~歴史から何を学ぶか~』

アベノマスク2

【マスクに込められる思い】

私たちにできるのは、できる限り「密閉・密集・密接」の3密を避け、
人と話すときも、できるだけマスクを着用すること。

マスク着用は、自分が感染しないようにというのもさることながら、
人に感染させないようにするという目的も大切です。

新型コロナウイルスは、発症2日前頃が感染させるピーク
(ウイルス量が最大になるタイミング)と考えられています。
無症状の感染者が出す飛沫が人の顔にかかり、
ウイルスが伝播していく危険があるという、
お互い気づきにくい、というか気づけない、とても厄介な性質ですね。

これを防ぐために、人と近距離で会話するときにはマスクを着ける――
飛沫を他人にかけてうつさないためにマスクを着用するという考え方は、
「ユニバーサルマスキング」と呼ばれています。

ワクチンや治療薬が確立するまでの「ウィズコロナ時代」に求められる、
新たな生活様式のひとつなんですね。

一方で、熱中症にも気をつけないといけない季節を迎えます。
上手にマスクとつきあっていきたいものです。