NOTITLE

【受験勉強で身につく本当の力】

受験シーズン到来。
私の「従姪」←(いとこめい。従姉妹の娘はこう呼ぶんですね)も
高校受験を控え、追い込みをかけていることでしょう。

私も〇十年前に経験した高校&大学受験。
その時勉強した(詰め込んだ)あれやこれやは、
ほとんど忘れてしまっています。
だって、普段使わないですから……。

そういう人が多いのでしょう、
「受験勉強は社会に出て役に立つのか?」は
今も健在の“永遠のテーマ”ですね。

いろいろ大変な当事者である生徒さんにとっては、
「そんなこと今言われても」かもしれませんけど。

もちろん、役に立たないわけありません、というのが私の意見。
「でも、忘れてんでしょう」という声には、
「それは視野が狭いですよ」と申し上げましょう(^^)

私の考えを代弁してくれた方がいました。
プロトレイルランナーの鏑木毅選手です。

鏑木選手は、昨年、50歳で山岳レースUTMB(※)に挑戦し、
見事に完走した、日本を代表するランナーのひとりです。
同世代の私としては、サッカーの「キングカズ」こと
三浦知良選手とイメージが重なる、
勇気をもらえるアスリートのひとりですね。

鏑木選手のオフィシャルブログに、
「受験の苦労って無駄なことなの?」という、
そのものズバリのエントリーがあります
(日経新聞連載「今日も走ろう」へのリンクが張られています)。

私に響いたのは、以下のくだりです。

――限られた時間の中で、物事を筋道立てて考える力も
格段に身につくのもこの時期。

いま自分は何を優先すべきか、
あることを成し遂げるにはどのようにすればよいのか、
といったことは、もちろん受験以外でも磨くことはできる。

だが人生を左右しかねない大きなプレッシャーの中で培えば、
知らず知らずのうちに状況判断力は磨かれていくだろう――

※ウルトラトレイル・デュ・モンブラン。
ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランを巡る
フランス、スイス、イタリアにまたがる山岳地帯を走るレース。
鏑木選手は2009年に3位(日本人最高)。

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【学歴は“頑張れる力”の証明書】

以前、某就職情報会社の人事担当者に、
採用時に学歴(出身校)を見る理由を聞いたことがあります。

「学歴で人がわかるんですか?」という私の質問に、
「発想が逆」との答え。
高学歴だから高評価、というよりは、
仕事ができる人は“結果的に”高学歴が多い、とのことです。

つまり、厳しい受験をパスしてきた人は、
たくさんの情報を効率よく処理する力とか、
やらなければいけないことに計画的に取り組む力とか、
さまざまな課題に長期にわたって向き合う忍耐強さとか、
そんな諸々の素質に優れているだろうと判断できる、ということです。

もちろん、「学歴=能力」だとは言いません。
けれども、数回の試験や短時間の面接で
その人の大半を知るなど、そもそも至難。
限られた時間で採用を進めるには、
学歴はそれなりに有効な指標になるんですね。

生徒のみなさんたちは、
受験勉強で覚えた知識もさることながら、
受験勉強で“鍛えた力”が、
社会に出て大いに役立つと考えていただきたいです。
決して無駄なんてことはないですよ。

がんばれ、受験生!

 

【言葉づかいで証言も変わる】

アメリカの認知心理学者で、記憶と目撃証言に関する研究の
第一人者とされるエリザベス・ロフタス先生の実験です。

被験者のグループに自動車事故のビデオを見せ、
半分に「Did you see the broken headlight?」、
もう一方に「Did you see a broken headlight?」と尋ねました。
違いは、「the」と「a」。

結果、壊れたヘッドライトを「見た」と答えた割合は、
前者(the)のほうが後者(a)より多かったそうです。

「the」は壊れたヘッドライトがあることを含意し、
「a」にはそうした含意はないとのこと。

さらに、「車が衝突したときに、車はどのくらいの
スピードで走っていたか?」という質問をしました。

その際、被験者を5つのグループに分け、
「衝突した」という表現を5つの動詞で言い分けました。

5つの動詞は「smashed」「collided」「bumped」
「contacted」「hit」。衝撃度が強い順です。

結果、「smashed」を使って質問されたグループは、
実際より速いスピードを推定し、
「contacted」「hit」を聞いたグループは、
実際より遅いスピードを推定しました。

――(慶應義塾大学環境情報学部教授・今井むつみ『ことばと思考』より)

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【言語によって区分けが違う】

言葉一つで印象や記憶が左右されるのは、
英語でも日本語でも同じこと。

英語でそのあたりを使い分けることができれば、
十分に高いレベルと言えるでしょう。

ボキャブラリーは豊かに……
……と締めたいところですが、
事はそう簡単ではありません。

日本語と英語は必ずしも一対一で対応していません。
前述の「衝突した」もそうですが、
例えば「歩く」という基本的な行為を表す言葉にしても、
英語では日本語とはまた違う細かい区分けがあります。

そしてお互いに、母語にない区分けの言葉は覚えにくいのです。

前出の『ことばと思考』によれば、
今井先生も、英語で細かく使い分けがある、
「歩く」を表す動詞を覚えるのにとても苦労し、
今でも数個の動詞しか思い出すことができないそうです。

これらの動詞が使われるのを聞くたびに、
「よちよち歩く」(waddle)、
「よろめきながら歩く」(stagger)など、
無意識に日本語に直してしまい、日本語に直した時点で、
「歩く」としてしか記憶に残らないせいではないか、と。

英単語がなかなか覚えられないと嘆いているあなた、
それにはちゃんと理由があるのかもしれませんよ。

【若林さん、「ヌーハラ」を斬る】

先日、お笑い芸人オードリーの若林正恭さんの結婚発表がありましたね。
若林さんは、知る人ぞ知る“読書芸人”のひとりで、
毎回いろんな作家とトークする『ご本、出しときますね』という
BSジャパンの番組のMCも担当していました。
私が好きな芸人さんのひとりでもあります。

その若林さんの著書に『ナナメの夕暮れ』というのがあって、
「ヌードルハラスメント」(「ヌーハラ」)について書いてあるくだりがあります。

今ではほとんど聞かなくなった「ヌーハラ」ですが、念のため補足すると、
ラーメン屋やソバ屋などで日本人が「ズズズ……」すすることに、
外国人観光客が精神的苦痛を感じる、ってものですね。

若林さんが「ヌーハラ」をツイッターで検索してみたら、
「日本でこういう報道がされているらしい」というツイートは引っかかるものの、
一般の外国の方が「音が苦痛」とつぶやいているものは見つからなかったそうです。

そもそも「ヌードルハラスメント」という言葉は和製英語。
言いはじめたのは日本人自身ということで、
「この言葉を作ったのは誰で、狙いは何だったのだろうか?」
というのが若林さんの疑問。

一時はテレビ番組でも話題になり、外国人が「ヌーハラ」を訴えていることを前提に、
「すする音が嫌なら日本に来るな」というコメントが共感を呼んでいました。

共感を呼ぶであろうことを、あらかじめわかっている人が、
「ここは日本だ!」とコメンテーターが目くじらを立てて
コメントするまでをデザインしているかのような印象を受けた、と若林さん。

若林さんは、誰かが教室にゴムのヘビのおもちゃを投げ込んで、
教室内がパニックになるイメージが浮かんだそうです。

――おもちゃのヘビに向かって「噛まれたら危ないだろ!」
「教室からつまみ出せ!」と言っているのではないだろうか?
本物のヘビのことはいくらでも議論すべきだと思うが、
実態のないものに怒らされているとしたらそれは不気味だ。
~ヌードルハラスメントは忘れ去られているだろうが、
ゴムのヘビを投げ込む人がいるということは覚えておきたい。――

うーん、さすが若林さん(^^)
勝手な思い込みには気をつけたいものです。
特に外国人への思い込みは、“よくありそうな形”に流されがちなので……。

おこしやす

【「ぶぶ漬けでもどうどす?」】

私も最近、思い込みを正されることがありました。

みなさんは、京都で「ぶぶ漬け」(お茶漬け)を勧められたら、
文字通り受け取ってはダメで、「早く帰ってほしい」という意味、
と耳にされたことはありませんか?
私も、それは京都ならではの“常識”と思ってました。

ところが、こないだ泊まった京都駅近くのホテルで、
夜食で無料サービスしていたのが、なんと「ぶぶ漬け」。
おもてなしの拠点ともなるべきホテルで、ずいぶん大胆だなあと思ったものです。
とてもおいしかったですけどね。

その場でスタッフさんに尋ねようとも思ったんですが、
クレームをつけてるように思われてもナンだし、
わざわざ「ぶぶ漬け」を出すからには何らかの理由があるはずで、
それを知らないことをさらけ出すのもナンなので、
あえて自粛し(^^ゞ、後で調べてみました。

京都に関する本をいくつも出している柏井壽さんの
『京都に行く前に知っておくと得する50の知識』によれば、
実は「ぶぶ漬け」は「早く帰れ」の意味じゃないとのこと。

京都人は、早く切り上げたい際は「用事」があることをうまく使うそうです。
「うっかりしてたわ。主人に頼まれてたことを忘れてた。
ちょっとそこまで行かんならんけど、一緒に行ってくれへん?」
「あ、うちもや。うちも頼まれごとがあったんを忘れてた。
ほな、おいとましますわ。えらい長話してしもうて、悪いことやったなぁ」
という具合。

「ぶぶ漬け」を勧めるからには、おいしい漬物がありますということだろうから、
ありがたくごちそうになればいいそうです。

思い込みで恥をかいたり、損をしたりしないためにも、
頭は(できれば体も)常にやわらかくありたいと、
思いを新たにした私でした。

本気で英語を身につけたい。
そのためには留学が有効なんだろうな、とも思う。
でも、環境が変わり過ぎてハードルが高い……
なんてふうにためらっている方がいらっしゃったら、
それも“思い込み”かもしれませんよ。

 

【ネイマールは“大根”なのか】

先日、サッカー好きの友人と飲んでいて、
去年のサッカーW杯ロシア大会の話にもなりました。
優勝したフランス代表で、W杯の最年少得点者にもなったエムバペ選手はすごいとか、
日本の戦いはどうだったかとか……(決勝トーナメント1回戦でベルギーの
超高速カウンターにやられました。あのシーンは今でも忘れられません)

そうなると、当然同大会でのブラジル代表ネイマール選手にも話は及びます。
過剰なシミュレーションぶりがいろいろなところで「大根役者」と批判され、
それを真似る子どもたちが続出したことも話題になりました。

ネイマール選手は、ロシア大会の前、母国ブラジル大会準々決勝で負傷のためリタイアし、
その後ブラジルは、準決勝でドイツに1-7と歴史的な惨敗を喫しました。
そんなこともあってロシア大会をどんな思いで迎えたかを考えると、
ネイマール選手を一概に批判する気にはならない、なんて話も出ましたが、
そんなことはさておいて、その時ふと心に浮んだのは、
「大根役者」って外国人には通じないよなあ、って疑問です。

まさか「Radish」で通じるなんてことは……と思って後日調べたら、
いやあ、やっぱりちゃんとあるんですね。
英語で演技がヘタなことを意味する言葉は、同じ食品の「ハム」なんです。

ご存知の方も多いのかもしれませんが、
私は今回初めて知りました。

なぜ「ハム」なのか?
由来には諸説あるようです。
ハムには道化者という意味もあり、
道化者は大げさな演技をするものですから、
ハムは自然な演技ができない役者を指すようになったとか、
演技がヘタな役者ほどハムレットの役を演じたがるから、などなど。

ちなみに、「大根」の由来も念のため。
こちらも諸説あるようですが、有力なのは、
大根には消化を助けるジアスターゼという酵素が多く含まれていて、
大根を食べると食あたりしないと言われているから。
そこから「あたらない」→「ヒットしない」→
「演技がヘタ」を意味するようになりました。

同じ食べ物ですが、「大根」と「ハム」は大違い。
でも「演技がヘタ」という同じ意味があるんですね。

大根

【スタローンがハムのCM、日本で大根のCMには?】

さて、アメリカの人気俳優、あのシルベスター・スタローンが
1987年、日本の伊藤ハムのCMに登場しました。
その際、「スタローンは自分の演技力をギャグにした」と評されたそうです。

伊藤ハムのWebサイトには、『映画「ロッキー」シリーズで人気の
シルベスター・スタローンさんをTVコマーシャルで起用し、
話題のヒーローは新商品のイメージにもピッタリでした』とありますが、
そういう「ギャグ」も念頭にあったのかどうか……

じゃあ、日本で大根のCMに出ている役者さんっているんでしょうか?

寡聞にして大根だけのCMって見たことありませんが、
大根を使う料理がらみのCMなら見たことがあり、
それにはあの女優・タレントさんが(^^)

日本語に限らず、言葉の世界を深く知ると、
いろいろな楽しみ方が増えると思います。
楽しめながら学べるといいですね。

 

 

【平成のイメージ、良くなったものと言えば……】

GWもいよいよ終盤、過ぎてみればアッと言う間ですよね。
今年は平成→令和の代替わりもあって、忘れらないGWになるのでは?

ちなみに、「令和」発表時に一部の海外メディアが、
「令」は指令や秩序の意味と報じました。

それは違うと外務省が、令和には「beautiful harmony」、
「美しい調和」という意味が込められていると説明するよう、
駐在大使などに指示したそうですね。

これも、代替わりにまつわるエピソードとして
後々語り継がれることになるんでしょうか。

さて今回は、平成を振り返り、
NHKが実施した世論調査をご紹介しましょう。

ありがとう平成くまモン

◆平成に当てはまるイメージ
1. 戦争がなく平和な時代 79%
2. 治安がいい時代 56%
3. 男女が平等な時代 48%
4. 民主主義が成熟した時代 47%

◆平成に当てはまらないイメージ
1. 社会的弱者に優しい時代 68%
2. 地域が助け合う時代 62%
3. 家族の絆が強い時代 59%
4. 経済的に豊かな時代 58%

◆平成で良くなったもの
1. 情報通信環境 88%
2. 道路交通網 82%
3. 防災 75%
4. 医療・福祉の体制 65%
5. 教育 55%

◆平成で悪くなったもの
1. 政治への信頼 75%
2. 日本を取り巻く国際情勢 71%
3. 国の経済力 70%
4. 雇用・労働環境 56%
5. 治安 47%

※調査期間:2018年9月~11月
※調査対象:全国18歳以上の6,000人(調査有効率59.2%)


大多数の方が平成を平和な時代と評価している一方で、
政治への信頼や、日本を取り巻く国際情勢が
悪化していると見ているのが浮き彫りになっています。
平和の継続には不断の努力が求められますね。

平成で良くなったものの1位が情報通信環境なのは、
誰しも納得ではないでしょうか。
令和は、5GやAIも絡んでさらに進展することでしょう。

さて、令和はどういう時代になるでしょうか。
少なくとも平成同様「戦争がなく平和な時代」は、
「美しい調和」をもってずっと続いてほしいと切に願います。


 

【《リトルの法則》を知っていますか?】

いよいよ平成最後のGW、いや、令和最初のGWかな、
まあとにかく、大型連休の到来です。
国内外で10連休を満喫される方もいらっしゃることでしょう。
うらやましい限りです。

JTBによれば、GW中の国内旅行先は、
北海道・東北 15.3%
関東 20.7%
甲信越 8.6%
東海 11%
北陸 4.6%
近畿 14.3%
中四国 12.9%
九州・沖縄 12.6%
だそうです。

過去最多の国内旅行者が見込まれていますが、
なかでもJR四国の特急・快速列車の予約数が前年同期比6割増とのこと。
報道では、瀬戸内国際芸術祭2019や、
昨年末のNHK紅白歌合戦で米津玄師さんが歌った、
故郷徳島の大塚国際美術館など、
「アートの四国」が観光客を引き寄せる、としています。

さて、例年に増して多くの人出が予想されるGW。
仕方なく長い行列に並ばなければならないこともあるでしょう。

日本人は、外国人と比べて行列に並ぶのを苦にしないという話もありますが、
それでも遅々として進まないとうんざりしますよね。

私は、たとえそこが目的の場所であっても、
人がたくさん並んでいるのを見ただけで心が折れ、
あきらめたことは一度や二度じゃありません……でした。
《リトルの法則》を知るまでは!

行列

《リトルの法則》
『待ち時間(分)』=『自分の前に並んでいる人数』÷『1分後に自分の後ろに並んだ人数』

これこそ、知る人ぞ知る、並ぶ時間の大まかな目安を、
簡単な観察と計算で割り出す“公式”なのです。

例えば、自分の前に並んでいる人が20人いたとして、
1分後に自分の後ろに並んだ人が2人だったら、
待ち時間はだいたい10分と予測できるわけです。

いつまで待つかわからず、ただ漠然と並ぶのと、
だいたいの待ち時間が予測できているのとでは、
“イライラ度”が全然違うのは言うまでもないでしょう。

あらゆる行列に適用できるわけでもなさそうですが、
少なくとも私は、たくさん人が並んでいるだけで
あきらめることはなくなりました。

みなさんもお試しになってみては?

 

【インバウンドの陰で……】

先日、桜が満開の京都に行く機会がありました。
どこを切り取っても絵になるって言うんでしょうか、
「やっぱり京都はいいなあ」と感じ入りました。

ところが、日本人が京都離れしているという
気になる特集をテレビで見ました。

その理由トップ3は、
(1)人が多くて混雑しすぎ
(2)観光客のマナーが悪い
(3)目的のバスがわかりにくい
とのこと。

以前から言われていたことではありますが、
外国人観光客の大幅な増加が裏目に出ているようです。

何でも、年間を通じた京都宿泊客の43.9%が外国人とのこと。
隣の部屋は外国人、というのはごく普通なんですね。

外国人観光客は、いろんなものを食べたいから、
例えば3人で1品しか頼まない割に長居するので、
飲食店にとってはおいしくない、
という旨のコメントもありました。

着物姿の外国人三人娘――京都・八坂神社にて

着物姿の外国人三人娘――京都・八坂神社にて


【古都観光と国際体験を楽しむ】

ただ、京都も黙って見ているわけではありません。
時間帯別混雑度合いを示し、朝観光や夜観光を推進したり、
隠れた名所を紹介し、人が集まる場所を分散する試みも行われています。

例えば「とっておきの京都~定番のその先へ~」プロジェクト。
伏見、大原、高雄、山科、西京、京北エリアにフォーカスし、
知る人ぞ知る隠れた魅力や新たな観光情報、
地域のイベントなどを発信していくというものです。

外国人が多いから京都には行かない、というのは、
気持ちはわからなくもないんですが、やっぱりもったいない。
それよりも、古都観光と国際体験を一緒に楽しむ、
ぐらいの余裕を持ちたいと思います。

余談ながら、私が京都でバスに乗っていた時、
ご多分にもれず非常に混んでいたんですが、
よっぽど疲れた顔をしていたのか、
外国人観光客と思われる女性が英語で空いた席を譲ってくれました。
「いや、どうぞ」と片言で返したのですが、
その程度の会話だけでも、その後気分よく過ごせました。

何とも単純な話かもしれません。
でも、前回も書きましたが、結局長く残る旅の記憶って、
きれいな景色やおいしい食事もさることながら、
人とのやりとりじゃないかなあ、なんて思います。
まあ私の場合、笑えることばかりでなく、腹が立ったり、
恥ずかしかったりしたことも含めてですけど。

【7割がポイント還元がある販売店に好感】

アマゾンが通販サイトで取り扱うすべての商品で、
購入額の1%以上をポイント還元する方針を示したことをめぐり、
公正取引委員会から「優越的な地位の乱用にあたる可能性がある」
と指摘されました。
問題視されているのは、還元分を出店者が負担する点です。
同様にポイントを提供する楽天やヤフーも実態を調査するとのこと。

2019年3月上旬時点でこの問題がどうなるかわかりませんが、
私が目を引かれたのは、報道(2019.2.23付日経)にあった
ポイント還元を好む日本人の傾向です。

物流支援の米マンハッタン・アソシエイツによれば、
販売店に好感を抱く要因として
「ポイントカードなどの優待プログラム」を選んだ人は、
日本が70.8%だったのに対し、
中国は29.0%、米国は11.0%だったそうです。
日本人のポイント好き、何かを貯めるのが好き
という性向がうかがえますね。

ポイント好きは、値引き交渉をする習慣があるかないかも
影響しているのではないかと思います。
値引き交渉をしないかわりに
後で現金がわりに使えるポイントがもらえるなら、
値引きしたのと同様の満足感が
得られるということではないでしょうか。

ただ、その場で現金値引きと、
後日使える同額のポイントをもらえるのとでは、
前者のほうがお得なんです。
例えば10%引きと、10%ポイント還元を比較してみると――
10,000円のものを9,000円で買った場合は10%引きですが、
10,000円のものを買って1,000円分のポイントをもらうと、
11,000円分を10,000円で買ったことになるので、
約9.1%引きとなります。

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【キャッシュレス決済の真の目的は?】

ポイント還元はキャッシュレス決済を推進する有力策でもあり、
政府もキャッシュレス決済の普及に力を注いでいます。
インバウンド需要の取り込みにも役立つと見られています。

ユーザーにとっては便利な面も多いキャッシュレス決済ですが、
オンラインで決済する以上、販売側からすれば
取引の記録が明確に残ることになります。

税務署が課税所得を把握しているのは業種によって差があり、
給与所得者は約9割、自営業者は約6割、
農・林・水産業者は約4割と言われています。
いわゆる「クロヨン(9・6・4)」ですね。
この真偽はともかく、キャッシュレス決済普及の一番の狙いは、
(特に中小からの)税収確保ではないかという話も……

もちろん納税に不公平があるとするなら、
それは正されなければなりません。

最後に、最近ラジオで耳にして「なるほど!」と感心した
謎かけ風フレーズをご紹介します。

「税金は水である。節すれば知恵、脱すれば命とり」

【2017年のレジャー1位は国内旅行】

『レジャー白書2018』(公益財団法人日本生産性本部)によれば、
2017年、最も多くの人が楽しんだレジャーは「国内観光旅行」で、
2011年以来7年連続の首位をキープしました。

ちなみにレジャー人口のトップ10は以下の通りです。
1  国内観光旅行――5,240万人
2  外食(日常的なものは除く)――3,980万人
3  読書(仕事、勉強などを除く)――3,870万人
4  ドライブ――3,810万人
5  映画(テレビは除く)――3,420万人
6  複合ショッピングセンター、アウトレットモール――3,310万人
7  音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)――3,190万人
8  動物園、植物園、水族館、博物館――3,090万人
9  ウォーキング――2,970万人
10  カラオケ――2,920万人

「海外旅行は?」という声が聞こえてきそうですが、
まだトップ10に入るほどの規模ではありません。
日本政府観光局(JNTO)によれば、2017年の出国日本人数は1,789万人。
旅行も仕事も全部合わせた数字です。

ただ『レジャー白書2018』によれば、海外旅行は大きく伸びたとのこと。
旅行人気は相変わらず、というところでしょうか。

 三次駅

【旅は本来つらいもの】

老若男女問わず人気の旅行=トラベルですが、
「travel」は本来、つらいものを意味しました。

この語の語源はラテン語のtrepalium(拷問の責め道具)で、
tre(=three)+palium(=stake=杭、棒)、
つまり3本の杭を使った拷問具のことでした。

このためtravelという語は、初めは「苦しめる」という意味で、
それから「歩いて自分の体を苦しめる」ということになり、
「旅行する」という意味が生まれました。

今日でこそ旅はレジャー人口1位になるほど魅力的なものですが、
かつては、移動ひとつとっても、いまとは比べられないほど大変だったでしょう。
旅は苦労の象徴だったんですね。

日本にも「かわいい子には旅をさせよ」ということわざがあります。
わが子がかわいいなら、親元で甘やかさずに、
世間のつらさ・厳しさを体験させたほうがいいという、愛情の裏返しです。

今年は改元にともない、GWに10連休とれる方もいらっしゃることと思います。
そうでなくても、旅行の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。

もし道中、悪天候に見舞われるとか、
飛行機や列車が遅れる、
ホテル・旅館が思いのほかよくない、
サイフを落としてしまう、
置き引きに遭ってしまう、
思わずケガをしたり病気になったりしてしまう、
人出が多すぎて見たかったものがゆっくり見られない、
食べたかったものが食べられない、
買いたかったものが買えない、
やりたかったことができない、
思っていたほど楽しくない…………
たとえ望んでいた通りにはならなかったとしても、
それは本来の意味にかなった、自分を鍛える“苦労”と考えれば、
それもまた記憶に残るいい旅になるのではないでしょうか?

全くの余談ながら、私は『水曜どうでしょう』(知る人ぞ知る
北海道の伝説的なローカル番組)のような、“苦労だらけ”の旅に憧れます。

※参考文献:奥津文夫『英米のことわざに学ぶ 人生の知恵とユーモア』(三修社)

三江線一部運転見合わせ

三江線ラストイヤーだったのに……(2018年2月)

 

 

 

 

 

【書の達人でもあった弘法大師】

今月24日まで東京国立博物館で開かれている
「顔真卿 王羲之を超えた名筆」展。
先日、中国に造詣が深い先輩と会ったときその話になり、
顔真卿のすばらしさを熱っぽく語っていました。

私も高校時代、書道の授業を選択していて、
顔真卿のりりしい楷書を学んだことがあり、
すっかりその字に魅了されました。
まあ、いくら練習しても、少しも近づけませんでしたが……

日本にも書の達人、いわゆる三筆と称される人たちがいます。
空海、嵯峨天皇、橘逸勢(たちばなのはやなり)がそうです。

特に空海(弘法大師)は有名で、
「弘法筆を選ばず」「弘法にも筆の誤り」といったことわざにも登場します。

わざわざ説明するまでもないでしょうけど、
前者は、本当の名手はどんな道具でもうまく使いこなす、
後者は、どんな名人でも時には失敗することもある、
というような意味ですね。

さて、日本では達人の代表として空海が選ばれていますが、
英語ではどうなっているんでしょうか?

高野山

【ホメロスが達人代表】

「弘法筆を選ばず」は、英語では、
「The cunning mason works with any stone.」
(腕のある石工はどんな石でも仕事をする)と言い、石工が登場します。
具体的な個人名は出てきません。

一方「弘法にも筆の誤り」は、英語では、
「(Even) Homer sometimes nods.」
(ホメロスでさえも時には居眠りをする
→時には居眠りをして作ったような凡句がある)と言い、
こちらはギリシャの大詩人であるホメロスが登場します。
英語圏で達人・名人と言えばホメロスなんですね。

ホメロスは、西洋文学最初期の叙事詩『イリアス』や
『オデュッセイア』の作者とされている人物。
現代でも使われる「トロイの木馬」や、
弱点を意味する「アキレス腱」の出典はこれらの作品です。

空海とホメロス、時代こそ違え、ことわざにも名を残す偉人ですね。

さて、西洋で書道にあたるものはカリグラフィー。
書道に上手・下手があるように、当然カリグラフィーにもあるんでしょうけど、
私はどちらも目利きに自信がありません。


※参考文献:牧野髙吉『日英の発想の違いが面白い! 英語対訳で読む 日本のことわざ』(実業之日本社)